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季刊SOMNIUM No.3 葉書

季刊SOMNIUM No.3 葉書_b0081843_20263543.jpg

# by sumus_co | 2013-09-29 20:26 | 古書日録

ソムニウムNo.2 No.3

ソムニウムNo.2 No.3_b0081843_19143241.jpg

『ソムニウム』(エディシオン・アルシーブ+彗星倶楽部)No.4に続いてNo.2(一九八〇年四月二五日)とNo.3(一九八〇年九月二五日)を入手した。表紙デザインはもちろん羽良多平吉。

ソムニウムNo.4
http://sumus.exblog.jp/20952531/

二号ではボルヘスの「バークリーの十字架」そして龍胆寺雄が「幻想の街」と題して巨大樹の話を書いているのが目立つ。「彗星通信2」(編集後記)にはワークショップの報告と予告がなされている。(1)幻想文学アプローチ、(2)カイヨワ『妖精物語からSFへ』、(3)ノディエ『パン屑の妖精』、(4)フランシス・イェーツの方法、(5)ホフマンをめぐって、以上実施。予定は(6)ユダヤ神秘主義、(7)泉鏡花、(8)ゴシックロマン、である。他には雑誌『アルシーブ』、『別冊ソムニウム』、ソムニウム叢書の刊行予告。また七九年クリスマスにはTV取材があり、八〇年一月一三日に松岡正剛が来訪したという。さらにはレオ・レオーニ『平行植物』(工作舎)のプレゼントまで告知されている(日高敏隆による書評掲載)。

三号ではパウル・シェーアバルト「ツアツクとチヂと巨大なあたま」が目玉だろうか。「彗星通信3」には例のソムニウム叢書『水蜘蛛』の年内刊行が告知されており、書評誌も企画しているとある。今号のプレゼントは『迷宮』第三号(白馬書房)。梅木英治による扉絵の原画(メゾチント版画)販売も。

ソムニウムNo.2 No.3_b0081843_19142652.jpg

二号に広告を出しているのは、七彩工芸(マネキン製造)、klab MODERN、『迷宮』白馬書房・迷宮編集室、『rock magazine』(阿木譲編集発行)、『WX-ray』復刊第一号(羽良多平吉)。

三号は、れんが書房新社、『WX-ray』復刊第一号、国書刊行会、東洋文化社、『迷宮』、『rock magazine』、工作舎。

ソムニウムNo.2 No.3_b0081843_19142115.jpg

雑誌にコミあり。挟み込みいろいろ。二号には工作舎の栞「工作舎ハイパー・ブックスタジオ3」、八〇年三月に大阪市南区のヒバリヤ書店ナンバ店で開催されたブック・フェアー「神道と錬金術」の書目である。それからもうひとつリーブルなにわのレシート。日付は「55・11・22」、600円一点は『ソムニウム』だろう。もう一点600円の品物を買って一万円札を出した、ということが分る。

三号の方には、郵便振替の払込用紙(払込料金加入者負担すなわち赤色)と『ソムニウム』の読者カード。全六冊刊行予定であった。

ここまできたら、創刊号、なんとか入手したいもの。
# by sumus_co | 2013-09-28 20:08 | 古書日録

木琴デイズ

木琴デイズ_b0081843_2085633.jpg

通崎睦美『木琴デイズ 平岡養一「天衣無縫の音楽人生」』(講談社、二〇一三年九月九日、装幀=間村俊一、本文デザイン=西岡勉)読了。力作である。

通崎さんは著名なマリンバ奏者。しかし小生にとって通崎さんと言えば『天使突抜一丁目』(淡交社、二〇〇二年)という著書を出しておられるように、京都の下京区に実在する天使突抜という住所に住んでおられるということで印象深い。この天使は耶蘇の天使ではなく平安時代に天神を祀った「天使の宮」ができたことに由来するというが、一度聞いたら忘れないインパクトのある地名だ。

本書の装幀を手がけておられる間村さん(装幀=間村、本文=西岡というのは通崎さんのご指名だそうだ。さすが)と親しい編集者Yさんが「ぜひ林さんに紹介したい」といって京都市中の料理屋のようなところでお会いしたのが最初だった。先日も拙作個展に来て下さってご挨拶くらいはしたが、こんな本格的な評伝を執筆されているとは知らなかった。

平岡養一という傑出した木琴奏者は若くして渡米、NBCラジオの専属アーティストになるほどの活躍を見せた。日米が交戦状態になるや、米国の友人たちの制止を振り切って帰国、戦時下で多くのレコードを吹き込み、コンサートを開き、音楽挺身あるいは従軍慰安活動に参加した。また敗戦を経ても変わることなく演奏活動を続け「紅白音楽試合」にも出演するなど大衆的な人気を博したそうだ。しかし徐々に木琴という楽器はすたれてゆき、マリンバに取って代わられる。ひとつの時代が終わる。

そして今、またその木琴デイズが復活しようとしている。木琴とマリンバとシロフォン(ザイロフォン)がどうちがうのか、知ってます? そのへんもぬかりなく本書においては詳述されているのでご心配無用。

歴史的記述や文化全般に対する目配りも充分になされており、著者自身が演奏者であるということから単なる評伝を越えた共感や、演奏者ならではの分析も随所に見られて、感嘆しながら読みふけっていたのだが、内容はもとより、その説明の分かり易さが小生のような音楽に昏い人間にも響いてきてある意味意外に感じたほどだ。例えば平岡養一のライバルだった同じ慶応出身の朝吹英一(朝吹の評伝にも一章割かれている)、二人の音楽的な相違を説明するくだり。

《たとえて言うなら、何か困った事態に遭遇したとする。「助けてくれ!」と大声で叫べる、あるいはつい叫んでしまうのが平岡の音楽だとすると、朝吹の音楽には、どんな緊迫した状況にあっても「すみませんが、こういう事情で困っておりますので、助けてはいただけませんか」というような折り目正しさがある。おそらく、朝吹は心から叫べる平岡を心のどこかでうらやましく思いながらも、それを軽蔑する心がないとは言えず、同時に自分は決して叫びたくない、という気持ちがあったに違いない。平岡からすれば、朝吹の美しい音楽作りはどこか「きれいごと」に思えたのではないか。しかし、朝吹の人となりを知る平岡は、その美しさが単なる「作り物」ではなく、朝吹そのものであることを誰よりも知っていたから、その美しさを認めざるを得なかっただろう。》

あるいは平岡の演奏を総括するくだり。

《平岡の弾く旋律は、時に不均等なゆらぎをみせはじめる。
 均等であることに慣れきった現代からすると、平岡の過度なアゴーギグは、時に理解を超えるものだが、どんなに独特の「平岡節」が出てこようとも、決して全体的なビートは揺らぐことがなく、またミス・タッチもほとんどない。平岡の音楽の変遷をみていけば、これが単なる癖ではなく、工夫であり、独特のセンスであったことがわかる。
 より多くの人に語りかけたいと思う平岡の歌心の表れだったのだろう。》

《これらの奏法により、透明感のある木琴の音色に「雑味」が加わったともいえる。音符としては表現できない、すなわち成分表示ができない「雑味」であったからこそ、誰にも真似のできない味わいが生み出された。一部分聞いただけでも「これは平岡の木琴だ」とわかる、平岡養一の世界を確立し、大衆からの人気を得た。》

断片的な引用だが、それでも通崎さんの文章の巧みさがよく分っていただけると思う。通崎さん自身が本書について語っている画像が YouTube で見られるのでご参考まで。また平岡養一と通崎さんの演奏もリンクしてみる。

木琴を弾く通崎睦美 平岡養一の評伝を書いて!
http://www.youtube.com/watch?v=vU854U0oHEY

平岡養一 夢見る人(Beautiful Dreamer) 1974
http://www.youtube.com/watch?v=wtV56wEnAu4

Recorder and Xylophone Duo
http://www.youtube.com/watch?v=CnF--KHdb0s

高遠先生の文楽の本もそうだったけれど、知らない世界の物語を読むのは少々骨が折れるにしても(専門用語や固有名詞に馴染みがないので)、そこから得るものはこちらが思うよりも深く大きいかもしれない。とにかく六十年近く生きてきても世の中知らないことばかりなのだ。だから本は面白い。
# by sumus_co | 2013-09-27 21:48 | おすすめ本棚

ラ・アンリアッド

ラ・アンリアッド_b0081843_20404527.jpg

『La Henriade, par Monsieur de Voltaire, Avec un Essai sur la Poésie Epique, & autres pieces. Nouvelle Édition, Enrichie en Figures. Tome Second.』(Jean Racine, Rouen, 1789)を入手した。

ヴォルテールの『ラ・アンリアッド』は一七二八年にロンドンで刊行された。フランス王アンリ三世とナヴァル王アンリ三世(後のアンリ四世)によるパリ包囲戦(一五八九)を語った叙事詩である。小生には新教旧教の力関係、ローマやスペインも絡んで錯綜したパワーポリテッィクスを簡単に説明することはとうてい出来ないが、とにかくも宗教的寛容を雄弁にうったえる「アンリアッド」は、ヨーロッパ全土にわたって前例をみないほどの成功をおさめたそうだ。そのためだろうが、多種多様な版が刊行されたようである。今でも十八世紀あるいは十九世紀初期の版本を容易に見ることができる。

これはルーアン、ガントリ通り(rue Ganterie)の書肆ジャン・ラシーヌがおそらく二巻本で刊行したもののうちの第二巻。「アンリアッド」は第一巻に収められているようで、ここにはパロディ版「仮装アンリアッド La Henriade Travestie」や「叙事詩論 Essai sur la Poésie épique」などのエッセイが何編か収められている。

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折り込み地図付。「メーヌ公爵夫人宛書簡詩 Epitre à S.A.S. Madame la Duchesse du Maine, sur la Bataille de Lawfeldt, gagnée par Louis XV, le 2 Juillet 1747」の主題となっているローフェルト(現在のベルギー、マーストリヒト)の戦いの戦場地図のようである。これは一七四七年に行われたフランスの領土拡張戦争でオランダやスコットランド等の連合軍と戦ってマーストリヒトを落とした。

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もちろん読もうと思って買った、わけではなく、絵に描ければいいな、くらいのところである。見返しのマーブル紙があまり手が込み過ぎておらず素朴なのが気に入った。

 *

田中りえさん(作家)が死去」されたという報せが知人より。これまで何度かこのブログでもお名前を出させていただいた。ご冥福をお祈りします。

野見山暁治 絵とことば
http://sumus.exblog.jp/18756765/
# by sumus_co | 2013-09-26 21:34 | 古書日録

海文堂書店の閉店に思う

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ギャラリー島田より毎月送られてくる『Gallery SHIMADA & Art Support Center Kobe INFORMATION』十月号に島田誠さんが「海文堂書店の閉店に思う」という文章を書いておられる。これは神戸新聞が九月に三回にわたって掲載した「【海よ、さらば 元町・海文堂書店の99年】愛情と敬意」という記事が、いたって不満足な内容であったため、それを補うという趣旨だそうだ。海文堂書店の歴史についてはいずれ詳しい記録が刊行されるとも書かれているが、ここでは島田さんの記述から主な事柄を抜き出しておくことにする。

 *

海文堂創業者・岡田一雄は島田氏の妻・悦子さんの父親。島田さんが三菱重工に勤めていた時、岡田氏が重篤な病で亡くなる直前、書店を継ぐように頼まれ、サラリーマンを捨てて書店の世界に足を踏み入れた。一九七三年のことである。

当時は現在の店の西半分が二階建ての木造店舗、東半分が空き店舗(以前は三好野という海文堂が経営する食堂)だった。一九七六年、空き店舗を書店として改造。一〇〇坪となる。児童書、雑誌、学習参考書を充実させた。島田氏が児童書を担当。宮崎豊子(児童文学研究家)さんが選書し、読書相談、こどもの育児教育相談コーナーなどを作った。これが現在の田中智美さんが率いる児童書コーナーへとつながった。

一九八〇〜八一年、西側の店舗の老朽化のため全面改築。仮店舗営業ながらポートピア博覧会のガイドブック販売でしのぐ。二五〇坪を九ゾーンに分けてそれぞれを専門店の集合とし、ゾーンごとにデスクと人を置き棚作りを任せた。

元町三丁目まで集客するためギャラリーを開設、マリーングッズ、子供の教育玩具(スウェーデン製)を販売。文化発信拠点を目指した。書店はグループの一員ながら独立経営だったため家賃を支払っていた。

創世記の大番頭・清水晏禎(よしやす)、前店長・小林良宣(よしのぶ)

『海会』に先だって小林店長時代の通信に『読書アラカルテ』、他に『読書手帖』『神戸ブックマップ』『ヴァイキングの乗船者たち』『神戸古書店地図』『郷土史一覧』などを刊行してきた。

 *

以上のようなことが神戸新聞の記事に欠落しているというのが島田さんの言い分である。島田さんに取材がなかったのだから仕方がない。なぜ取材がなかったのか、これはここで簡単に論評できないけれども、なかったのだから推して知るべしであろう。【同紙10月1日付でほぼ上記の内容の記事が掲載されました】

上の写真は店舗東側の壁を元町通から撮影したもの。右手奥に通用口がある。

なお、この通信には拙作個展の案内も掲載されている。そこに三百文字ほどの紹介文を書いたが、《1973年、上京して武蔵美に入学した》とあるのはうっかりミス。一九七四年の間違い。ちょうど四十年と思いこんでいた。ここで訂正しておきます。
# by sumus_co | 2013-09-25 20:03 | 著述関連