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夏どなり軽き鞄のたよりなさ
「田中栞日記」がmixiからヤフー・ブログに引っ越してスタートした。現在は版画関係の記事が中心のようであるが、いろいろ参考になりそうな日記だ(左のメモ帳欄にリンクを張っておいたのでご興味のある方はぜひ)。
昨日の収穫より。『ナシヨナル読本第二』(細川芳之助、明治二十一年第三版)1000円。『文字力100』には鐘美堂書店発行『ナショナル ニュー リーダー第二』(明治四十一年九版)を取り上げて下記のように解説した。 《 よみ・かき・そろばん……これが近代の社会を造った。十八〜十九世紀の西欧における産業革命によって必要とされた人的資源、とくに下級管理職の身に付けておくべき必須事項が、書類を読んだり書いたり、早く正確に計算する技術であった。そのために考案されたカリキュラムに沿って、イギリスなどではさまざまな初等英語学習教科書「リーダー」が出版されることになる。 これらのリーダーをいち早く取り入れたのは福沢諭吉である。慶応三年(一八六二)の外遊の際に多数のアメリカの辞書や教科書を持ち帰った。それらは明治十年頃から日本国内でも複製されるようになる。明治十九年には文部大臣森有礼の号令下、高等小学校で英語が正課となり、そこで用いられたのが『ナショナル』『ウイルソン』『チェインバーズ』『ロングマン』『ロイヤル』などのリーダーだった。なかでも『ナショナル』は宗教色が薄く自由礼賛が控えめなことから広く普及したという。》 ![]() #
by sumus_co
| 2006-05-02 19:33
| 古書日録
ふるほんに憑かれし都踊りかな
午前九時前に自宅を出て岡崎公園へ向かう。四条烏丸で地下鉄に乗り換え、烏丸御池でさらに乗り換え東山駅下車。九時半少し前に京都国立近代美術館に到着。
まずはフンデルトヴァッサー展を見る。初期のデッサンから水彩画などは、特別にすごいというところはない、ごくふつうの感じ。1960年代のあたりの仕事がいちばんいいようだ。材料はミクストメディア。テンペラのような質感も見えたが、ときには水彩画の上に油絵具で描くというような作品もあった。基本的には水性塗料をベースとする作家である。だから色彩は印刷物で見るより、ずっとシックで渋い。 常設展示。モンドリアンの小品。これは爽やかな作品で大好き。シュヴィッタースもいい。ショーケースに『MAVO』の1,2,3,5,6,7の六冊が展示されていた。『マロニエ』や『柳屋』も並んでいて、時代は変わったナ、と思う。 十時二分に勧業館の入り口に到着。ところがなんと入場制限をしている。開門前に並んでいた人たちを先に入れているのだが、蜿々と長蛇の列、入場に時間がかかっていたのだった。 とにかく端から順番に見て行く。均一コーナーがないのはいかにも淋しい。山本氏にまず逢う。「今日はなんにも買えんかもしれんなあ」などと弱気の発言あり。壁際をぐるりと見て歩き、キトラ文庫の安田さんに逢ったので、挨拶。『coto』次号の締め切り確認。 そのあと通りかかったのがそのキトラ文庫の棚、ここでやっと買えそうな一群の書物に出くわした本日のハイライト、西條八十『砂金』(尚文堂書店、一九二〇年五版)1500円を発見。少し傷んでいるが、まったく気にしない(この本は良く売れたそうで十八版を重ねたとか)。 #
by sumus_co
| 2006-05-01 17:28
| 古書日録
鬚剃りて靴を磨きて夏隣
井筒俊彦『イスラーム思想史』(中公文庫、一九九一年)を読み始める。じつに面白い。アラビア人(セム人)は眼と耳が良いことを第一とするそうである。だからコーランは朗唱を聴くとすばらしい。響きの陶酔的な美しさがある。
また、彼等は目に見えるものしか信じないので、神は神である証拠を具体的な奇跡という形で示さなければならなかった。例えば、次々に奇跡を求めるユダヤ人にはイエスも辟易して、悪口を言っている。たしかに旧約聖書では神が目に見えるように描かれている。 というところで『星の王子さま』の狐のセリフを思い出した。哲学的な狐は小さな王子にこう言う。 大事なものは目には見えないんだ。 L'essentiel est invisible pour les yeux. まあ、これはなくなって初めてその大事さが分かる、という意味で言っているのだが、この対照は考えさせられるものがある。 #
by sumus_co
| 2006-04-30 20:12
| 古書日録
蒲公英の日をさへぎりて書をささぐ
『サンパン』続きを読む。向井氏の店番日記、散文詩のおもむきである。菅野俊之氏の「たった二人の氾濫社」も参考になった。真尾倍弘(ましお・ますひろ)と悦子がいわき市で営んでいた出版社である。真尾悦子には『阿佐ヶ谷貧乏物語』(筑摩書房、一九九四年)があるが、これは未読なのでぜひ読んでみたい。
ちょうど今日、装幀をさせてもらった高橋輝次氏の新著が届いた。『関西古本探検—知られざる著者・出版社との出会い』(右文書院)である。見本なので、まだ書店には並んでいない(しばしお持ちを)。このなかに江口榛一と赤坂書店に関する記述があるのだが、そこに『阿佐ヶ谷貧乏物語』が出てくる。真尾悦子は、外村繁が編集をしていた赤坂書店の雑誌『素直』を手伝っていた。文壇社に勤めていた夫とともに外村家に間借りしていた敗戦後間もない時代の回想だそうだ。ますます読みたくなってきた。 『関西古本探検』は、デイリー・スムースでも何度か紹介したように、創元社のサイト上での連載をまとめたもの。他に何編かの書き下ろしも加えて構成されている。いかにも高橋氏らしい手つきで、忘られた編集者や作家を発掘し自分なりに調べて行く過程が、なかなかに面白い。ただ、いろいろな名前が飛び交うので、ちょっと面食らうところもあるのだが、今回は人名・書名の索引が付いている。これは後々役立ちそうで、ありがたい。 ![]() 銀座での個展が終わってから、ずっとかかりきりだった「文字力100」の原稿、ようやく書き上げた。あとは全体のバランスをみて、データチェックをして、写真を撮る……で、なんとか黄金週間明けと同時に入稿したいと思っている。初の書き下ろしダ! #
by sumus_co
| 2006-04-28 21:29
| 装幀=林哲夫
のどけしや書代の払ひのどならず
『サンパン』3期12号が昨日届いた。いつもながら、寄稿者一同、わが道を行く、である。樽見博さん、俳句入門書から十五年戦争時における思想を見て行こうという連載は、いかにも樽見さんらしい。見逃されがちな雑本を丹念に拾い集めている。山本善行氏は洲之内徹に関して『小野元衛の絵』(私版、一九二八年、柳宗悦装幀)を自慢して、いや、取り上げている。小沢信男さん聞書きはタウン誌『うえの』について。『銀座百点』は文藝春秋、『うえの』は河出書房系というのは、なるほどと思う。下は島良作氏の紹介するマーストリヒト(オランダ)の古書店。
![]() 「城北古書会展」(東京古書会館、5/12、13)の目録届く。石神井さんの頁にはやはり惹き付けられる。『本の手帖』84冊揃(森谷均追悼号含)50,000円ですか……。 戸田勝久さんの個展「きのうの空」の案内状。A4二つ折りという凝った立派なもの。姫路市白銀町96の森画廊にて(5/12-21)。 今日の一句、「のど」は静か、のどか、のんびり。のどのど、のどまる、のどむ、など同じような意味合いである。 #
by sumus_co
| 2006-04-27 21:42
| 古書日録
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