坂本遼『たんぽぽ』(地帯社銀河手帖、一九七〇年)。元本は銅鑼社から一九二七年に刊行されている。その復刻版。序=草野心平、跋=原理充雄、表紙絵口絵=浅野孟府。
厩
曇つとるな
あしたも曇るな
たこがあがつとるど
おらは高いこまい格子窓へ首をのばしあげた
白い空が冷いから
じつとがしとるのやな
左肩をあげてじつとしとるのやな
おらは歩かう
太いかんぬきの中を歩かう
だまつて歩くよりしやうがない
なきやうにもなくことがないし
この貧乏した破れ家の端で
動いてゐるのはおらだけか
だまりながら
歩いとる
うつむいて
じつと歩いとる
涙出さうになつてくるのや