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週刊三階生活社の検印紙。先日の検印紙スクラップブックより。印は「学蔵会印」と読める。じつは以前から、この検印紙のデザインは佐野繁次郎ではないか、と疑っているのである。墨文字による、にじみ、とぎれ、が戦中から戦直後の佐野のイラストや文字に共通する。生活選書や「くらし」のシリーズの装幀も手がけており、生活社との関係は深いから、可能性は大いにあると思うが、確証はない。(花森安治作ではないか? とも思う) ÷ 神田の某氏より紙モノをいろいろ頂戴した。その中に『週刊三階』の創刊号(8/11)と第二号(8/21)そして地方小出版の情報誌『アクセス』379号が入っていた。前者は東京堂書店の三階でガンバッテいる畠中理恵子さん手作りのフリーペーパー。B4大の紙(裏表に手書き、コピー印刷)を折り畳んでB7判の冊子にしてある。文字通り「三階」の書棚地図に、オススメ本の紹介などがびっしり、そしてちりばめられたイラストにみょうなインパクトがある。漫画家をめざしていた畠中さんならでは(?)。東京堂の三階はゆったりとしたいい空間なのに、神保町にかなり親しんでいる人でもまだ未踏という方は少なくないだろう。ぜひ一度のぞいていただきたい。このブログで紹介しているようなミニコミもきっと備えてあるはず。 後者の『アクセス』379号には、東京堂書店の店長・佐野衛さんが、畠中さんを東京堂書店にスカウトし、三階に地方小出版やミニコミのスペースを確保するまでの顛末を記している。まずは、坪内祐三さんに、どうしても残して欲しい「書肆アクセス」(地方・小出版流通センターのアンテナ店舗、昨年十一月閉店)の棚があるので、引き継いで欲しいと頼まれた。そこで佐野さんは、書肆アクセス店長だった畠中さんに、立ち話で入店を打診して、その場で来てもらうことに決めた。 地方・小出版流通センターから商品を出してもらうためにもかなり苦労したようだ。先行の書店(名前は出ていないが、三省堂だろう)が同様のコーナーを設置しようとしていて、東京堂は遅れをとった形だった。さらに畠中さんの入店時期が今年四月にずれこんだ。五月半ばオープンの予定が厳しくなった。畠中さんも不可能だと言ったそうだ。ここからが佐野さんらしい。 《私はこれまでも不可能性について考える癖がついている。そうして、それはできると判断した。 以前洋書を担当していたとき、本の仕入は直接エージェントに出向いて棚から本を選んで仕入れていた。もちろん海外から送られてくる新刊案内を見ているのだが、現物を見るのが最上の選択だと思っている。今回も出向いていって、直接棚から抜いて揃えようと思った。》 《とにかくやってみようということにして、疑念だらけの畠中さんを引っ張って出向くことにした。》《こうしてなんとか地方出版社と小出版社の本とミニコミ誌が、オープンに間に合った。》 東京堂の洋書の棚は伝説的だが、小生もまだその棚があったころ、一度だけ迷い込んで、「なんじゃこりゃ〜」と思った記憶がある。思っただけで何も買ってはいないけど。なるほど、そういう担当者の熱意とセンスによって棚は作られているのだ。棚は人なり。東京堂の三階へ行くのが楽しみになって来た。とは言うものの、さて、次はいつ覗けることやら。
by sumus_co
| 2008-08-31 21:03
| 古書日録
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