橋本墨花『花と花言葉』の宇崎純一による挿絵。大正十一年だから、すでに夢二調は脱しつつあって、線が繊細なスミカズがはっきりしてきている。その分、少し絵それ自体が痩せてもくる。だが、まだまだ情緒は充分残している。
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「アンダーグラウンド・ブック・カフェ」の目録が届いた。いずれの店もすごいが、やはり古書日月堂か。店主の好みがじつにはっきりと出ていて、書物の東西を問わず、価値観を打ち出している感じ。ケルムスコット・プレスの二冊、本好きの定番なれど、やはり目を射る強さがある。このくらいの値段なら買えなくもないし。印刷関係の見本帳などがまとめて出ているのも気になる。
かげろう文庫の出品、イエローブックも定番といえば定番。ビアズレーの表紙を含む13冊揃い。多少汚れているためか値段もおだやか。
しかし驚かされたのは西秋書店。茂田井武の小特集もさることながら、このブログでも最近触れた白林館出版部の『ドリトル先生「アフリカ行き」』と『たのしい川辺』が並んでいた。ひゃ〜、なんと、百均で拾いたいなどと書いたが、これは右手がブッダハンドで左手がゴッドハンドじゃないと無理のようだ。しかし、西秋書店のこの路線は悪くない。
そしてもう一冊『モダン古書展その3』(6月6日〜8日、大阪古書会館)の目録。グレちゃんのポスターが表紙。西のUBCといってもいいような内容だ。いきなり矢野書店が『文学時代』を二十何冊、すべて(?)佐野繁次郎の表紙である。ところが一冊5,000〜10,000円、だいたい8000円。キビシー。
厚生書店の北園克衛『ハイブラウの噴水』(昭森社、一九四一年)とか、クライン文庫の『月刊椎の木』三冊とか、ハナ書房のあれこれとか、目移りするばかり。とりあえず、これは出かけよう。中日の7日はちょうどカロさんで間村×港トークのある日だし。