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太宰研究![]() 『太宰研究』3号(山内昭一、一九六三年一月二〇日)、14号(山内祥史、一九六八年四月三〇日)。昨日の「偶然」ということに関して少々。拙著『古本屋を怒らせる方法』に小生が木山捷平『酔いざめ日記』(講談社、一九七五年)の索引をとったと書いた(初出は「書評のメルマガ」)。そうしたところ、木山捷平の資料を蒐集されている中脇紀一朗氏から、その索引を見せて欲しいというというお手紙をいただいた。 残念ながら、索引といってもごく一部の人名や、喫茶店、飲屋、原稿料など、自分自身の興味の範囲内でしか記録していなかった。いちおう、そのコピーをお送りしたところ、氏の労作である『木山捷平資料集』(清音読書会)を頂戴した(この資料集については「古本ソムリエの日記」で言及されていたので知っていたが)。ほんとに、木山捷平が好きで、木山のキの字も見逃さない追求ぶりには頭が下がる。 その本の「研究資料」の中に『ARE』10号「私小説の3K」もちゃんとリストアップされていた。すると、それをご覧になった山内祥史氏より、購入希望のお葉書が届いた。これまた残念ながら、『ARE』10号は小生の手許にも一冊しかない。取り急ぎ特集部分のコピーをお送りしてお許し願った。 そんなやりとりがあって、何日か経ったある日、ある古書店で上の『太宰研究』を入手した。どちらもガリ版刷りなのだが、徹底して、太宰に関する記事を蒐集して収録しようという情熱に燃え上がっているような内容にはビックリさせられた。調べてみると、近代文学館やカナブンには揃いで入っているが、それによれば、一号(一九六二年七月)〜二〇号(一九七三年四月)が刊行され、そのあと『太宰治研究資料』と改題されて、二十一号(一九七三年六月)、二十二号(一九八九年五月)が刊行されている。 同時に『太宰治研究』(審美社、一九六二年一〇月〜一九七〇年六月、十二冊)も出ており、また山内祥史氏はその後独自に『太宰治研究』(一九九四年六月〜二〇〇七年六月までで十五冊)をも発行されているようだ。ただただ文学研究というものの奥深さを痛感させられるばかりだが、もし山内氏からお葉書を頂戴してなければ、古書店でこれらの薄いガリ版冊子に目がとまったかどうか。偶然の必然である。 ÷ アンダーグラウンド・ブック・カフェの後援により東京古書会館で開催する佐野繁次郎の展示は「佐野繁次郎の装幀モダニズム展」とすることにした。いろいろ考えたのだけれど、やはり佐野の仕事はモダンに尽きる。 モダーン(modern)はラテン語 modernus(modo がもつ語義のうちの「今」から、「現在の」)に由来し、ルネサンス頃に使われるようになったらしい。そのため歴史的には、ルネサンスからフランス革命までを指すような、別の意味もあるが、普通には二十世紀初頭のさまざまな事象に対して用いられる。 ポストモダン(こちらは一九四九年に初めて使用されたとか)の嵐によって、モダン、モダニズムという言葉はある意味で過去のものになってしまった。しかし佐野繁次郎の装幀をずっと並べてみると、つねに彼がモード(今)であろうとしていたことがよく分かる。モダンであり続けるために大事なのは、変わらない部分を持ち続けることだろう。その意味で、佐野の根底は生れ育った「船場」の美意識にあると思うのだ。
by sumus_co
| 2008-04-12 22:06
| 古書日録
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