
「第90回新宿古書展」(東京古書会館、4/20〜22)目録の表紙は永島慎二さんの版画である。2005年6月10日に亡くなれた。この自画像はよく似ている。眉が少し引きつっているような感じはそのままだ。目録の内容もけっこう好かった。「これぜったい欲しい!」というのが出ていたので葉書を出したが……、当らないだろうなあ。
÷
永島さんと言えばパイプ好きだった。それにちなむわけでもないが、こういう同人誌を某氏より頂戴した。『ざ・ぱいぷ』創刊号(京都ぱいぷ倶楽部、一九八〇年十月十日)と2号(京都ぱいぷ倶楽部、一九八一年十一月十五日)。

なんと、どちらの号にも三月書房の宍戸恭一さんがパイプ・エッセイを執筆されているのだ。なかなか読ませる。パイプの世界も深いもんだ。
《ある晴れた日の午後、「その鐘の音がとどく範囲内に生まれた人」が生粋のロンドンっ子、つまり、コクニーであるーーということで名高いチープサイド街の
セント・メアリ・ル・ボウ教会の方へと散歩した。先づ、サムエル・ジョンソン博士の銅像をカメラに収めてからフリート街を少し行くと、一八五九年創業の看板のあるS・ウエインゴットというタバコ店に出くわした。ずらりと棚に並べられた自家製ミクスチュアの壷のひとつに、土地柄にふさわしい名の「プレス・クラブ」が目にとまったので、少量を口にふくませて貰った。これはいけるぞと、一オンス求めてみた。案の定、香料を一切添加しないコクのあるミクスチュアで、ボウ教会の横丁の、新聞記者や銀行員たちがたむろしているパヴで、ニューキヤッスル・ブラウン・エールを片手に、心ゆくまでパイプをくゆらした。こんなタバコの買い方をしたのは初めてのことで、本場ならではの喜びに胸をふくらませた一夕であった》(「イギリス見聞記ーパイプとタバコー」)
残念ながらS・ウエインゴットという煙草店(tobacconist)は検索しても出てこなかった。この後、宍戸さんはスコトランドへ「蛍の光」で名高い詩人
ロバート・バーンズの「タム・オ・シャンタ」(にちなんだ煙草の銘柄タム・オ・シャンタ)を求めて出かけて行くのであった。つづく(かどうかわ分かりません。ちなみに「
日本パイプクラブ連盟」のサイトにはかの小谷野敦氏も寄稿しておられる)