岡崎武志『ベストセラーだって面白い』(中央公論新社、二〇〇八年、装幀=石丸澄子+中央公論新社デザイン室)が届いた。とにかく凄い。『中央公論』と『朝日新聞』の連載をまとめたというのだから、ライターとしてはひとつの頂点を極めたといってもいいだろう。岡崎・石丸コンビも定着した。小林秀雄と青山二郎みたい。
同人誌『BRACKET』で初めて出会ってから二十年ほどか。三十過ぎて単身上京(いま確認してみると、一九九〇年だった)、『十人十色』という不思議な雑誌にもぐりこんだところからスタートしてここまで登ってきた。思えば遠くへ来たもんだ。氏が上京したとき、必ずライターとして成功するとは思ったけれど、今のような状況は想像だにしなかった。まことに慶ばしい。
内容については
空想書店書肆紅屋さんが手際よく説明してくれているので、参照されたい(2/24)。ベストセラー相手に突っ込みまくり!
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そうそう、同じく『sumus』同人・扉野良人氏の本だが、いよいよ四月刊行に決定したもよう。装幀は空中線書局の間さんだそうだ。今から触れるのがもったいないような形になるのが目に見えるよう。期待大なり。
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ソクーロフ「静かなる一頁」とコクトーの「オルフェの遺言」を見終わった。ソクーロフは期待したほどでなく、無声映画ふうなつくりに新味はあるものの、きわめてだるい作品だった。タルコフスキーと並べて欲しくない。「オルフェの遺言」はコクトー七十歳の作品で、そのまんま、死と不滅がテーマ。ビートたけしの「座頭市」を連想した。まったくガキ大将が主人公の学芸会のノリ。映画になっとらん。
ジャン=ピエール・レオが少年役で出演、ワンシーンだけ。コクトーは一九五九年のカンヌ映画祭でトリュフォーの「大人は判ってくれない」の授賞式に立ち会っていたことによる起用らしい。他にユル・ブリンナー、ピカソとジャクリーヌらもちょい役で出演。ジャン・マレーはエディプス役で最後の最後に登場するが、コクトーとすれ違うだけの意味深長な設定(試写を観たマレーは落ち込んだそうだ)。
取り柄は南仏の風景だろう。レ・ボー=ド=プロヴァンスの放棄された石切場とはなかなかいいところを見つけてきたと思う。そこに近在からかき集めたジプシーたちが居並ぶシーンは印象的だった。他には
ジャニーヌ・ジャネの衣装、彫刻その他の大道具が目を惹いたていど。