遅ればせながら大阪の天神さんへ。太陽が出ているときはまずまずだが、日が翳ると寒風が身にしみる。それでも百円均一にへばりついてじっくり点検。午前中だったので客はまばら。個人的には予想以上の収穫あり。
橋浦泰雄『民族探訪』(六人社、一九四三年)は鶴見太郎さんの『橋浦泰雄伝』(晶文社、二〇〇〇年)を読んでいたので手が出た。ふつうにはもっと値段の付いている本のようだ。リルケ『聖なる春』(山下肇訳、ダヴィッド社、一九五七年)の装幀は北園克衛だろう(明記されていないが、サインが函の隅にある)。あとは吉川英治『折々の記』(全国書房、一九四二年三版)が国枝金三の装幀だということを知った。国枝は大阪出身の忘れられている画家の一人。小出楢重や鍋井克之らと盟友だった。たぶん回顧展も開かれたことがないだろう。
百円コーナーよりも手応えがあったのは空閑文庫。『大正大震災火災』(大日本雄弁会・講談社、一九二三年)と上泉秀信『山道』(三島書房、一九四六年、装幀=中川一政)を格安で入手。100円コーナーでは詩誌『輪』63号(輪の会、一九八七年)、『風景』187終刊号、追悼・舟橋聖一(悠々会、一九七六年四月)その他。空閑文庫は天神橋筋一丁目にあるそうだ。買わなかったけど鈴木創士さん訳のアラン・バディウ『ドゥルーズ』(河出書房新社、一九九八年)が1500円だった。
キトラ文庫で『大正八年度国民当用世界当代地理』(金尾文淵堂、一九一九年)を、同じテントの百済書房から『詩と批評』(昭森社)を四冊(各100円)と『JAZZ』10号(ジャズ・ピープル社、一九七一年九・一〇月号)200円。これは杉田誠一の編集。杉田による写真(表紙も)とエルビン・ジョーンズへのインタビュー記事が巻頭。エルビン、いいこと言ってる。また、安田南の談(「歌よりも生きるってことのもの凄さが好き」)と寄稿(「私自身が知らない私自身の二、三の事柄」)そして中平卓馬の写真に文(「安田南について知っている二、三の事柄」)という安田南小特集もよかった。SJ誌の悪口が散見されるのも一興。
ということで少々鬱憤を晴らした一日であった。