2008年1月30日初版第一刷発行
著者 佐田尾信作
発行 みずのわ出版
装幀 林哲夫
[用紙]
ジャケット リ・シマメ クリームホワイト 四六Y 130kg
帯 リ・シマメ クリームホワイト 四六Y 100kg
表紙 里紙 古染 四六Y 170kg
見返 里紙 鼠 四六Y 130kg
÷
佐田尾信作『風の人 宮本常一』(みずのわ出版、二〇〇八年)。みずのわ出版の最新刊。中国新聞に「生誕百年宮本常一という世界」と出して連載されたものにインタビューなど大幅に追加した内容である。詳細目次は
みずのわ出版サイトにて。ひとことで言えばこうなる。
《宮本その人の評伝というより、宮本をめぐる人と時代の物語》
民俗写真家・芳賀日出男氏インタビューを面白く読んだ。現在、あちらこちらの宮本本で使われている宮本常一の肖像写真のなかでは芳賀氏のものがピカイチだろう。平凡社の『私の日本地図』というシリーズのうち三巻分を宮本とともに巡って撮影したり雑誌『太陽』の取材で同行したときのものだという。
宮本自身がたくさん写真を撮っていることは知られているが、芳賀氏によれば、宮本はバスの窓からガラスごしにでもパシャパシャとオリンパスペンのシャッターを切った。何か少しでも気になるものはどんどん撮った。ハーフのフィルム(一本で七十二枚撮れる)をメモがわりに使っていたそうだ。そしてベタ焼きのネガを見ながら原稿を書いたという。
《それから庭先に干してある洗濯物をよく撮っていましたね。洗濯物を撮ることは、御自分でも書いてますけれども、大体家族がどのくらいいて、どんな着物を着て、どういうふうに破れた物を使っているか、家の中をのぞかなくても生活がわかると言って撮っていましたね》
今ではデジカメがあってメモ代わりの写真は当たり前だが、当時、他の人には全然そういう発想はなかった。芳賀氏はそんな宮本を非常におもしろい人物だと思った。
《とにかくただものじゃない、着眼点が普通の学者じゃないぞと。そこで写真の被写体としての関心からカメラを向けていた。この写真がのちに役立つだろうとは全く考えなかった。そのときの興味で、宮本先生のものの見方の素晴らしさを写真に撮ったと思うんですよ。それが今頃になって役に立ってきているわけ》
そういうものなんだなあ。他には宮本の日記帳の話も興味しんしんだ。宮本が残した日記は13,178日におよぶのだそうだが、中村鐵太郎が全文翻刻して『宮本常一 写真・日記集成』(毎日新聞社、二〇〇五年)としてまとめられている。とにかく驚くべき記録魔だったようだ。
『風の人 宮本常一」刊行記念として著者の佐田尾信作(さたお・しんさく)氏と龍谷大学教授・須藤護(すどう・まもる)氏のトークショー「宮本常一 多様なる実像」が
海文堂書店で開催される。ふるってご参加ください。
■とき 2月11日(月・祝)午後3〜5時
■ところ 海文堂書店2階 Sea Space