『吉岡実詩集』(書肆ユリイカ、一九五九年)。表紙の写真コラージュは浜田伊津子。浜田については、ググってみても、この詩集に関する事以外ほとんどヒットしない。口絵写真は雨宮俊夫撮影。小林一郎氏の「
吉岡実書誌」によれば、雨宮とは伊達得夫がまれに使ったペンネームだということである。吉岡が岩間の水の流れ(?)をバックに小休止しているのだろう。右下隅に帽子を残したトリミングが伊達のセンスか。
篠田一士の解説のような文章が冒頭にあるが、あまり感心できる内容ではない。ただこんなところはあるていど同感してもいい。
《ここにはぼくたちを魅惑するレトリックはなにひとつとして書かれていない。ぼくたちに束の間のよろこびを与え、有頂天にするようなイメージはまつたく見当らない。もちろんイメージは豊かにあるが、それらは無雑作に投げ出され、しかも確乎としている》
《無雑作に投げ出され》たとも思われないけれど、たしかに動かしがたい無意味というものは感じられる。
吉岡はこの前年に出した詩集『僧侶』(書肆ユリイカ)で第九回H氏賞受賞を受賞した。五月九日に和田陽子と結婚。記念に小歌集『魚藍』(私家版限定七〇)を披露宴の出席者に配った。飯島耕一、岩田宏、大岡信、清岡卓行と詩誌『鰐』(書肆ユリイカ)を創刊。そしてこの「今日の詩人双書」の一冊『吉岡実詩集』が出た。多事な、しかし充実した年だったようである。
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今日は日野草城の忌日。凍鶴忌、銀忌とも。
てのひらに載りし林檎の値を言はる 日野草城
高熱の鶴青空にただよへり 日野草城
ばら色のままに富士凍て草城忌 西東三鬼