山村順『奇妙な告白』(国文社、一九五七年)。たかはししげおみ宛献呈署名と年賀状付き。山村順は竹中郁、福原清らと海港詩人倶楽部を結成していた。山村の詩集は以下の通り。
『おそはる』海港詩人倶樂部 1926
『水兵と娘』青樹社 1930
『空中散歩』旗魚社 1932
『花火』文童社 コルボウシリーズ 1950
『奇妙な告白』國文社 1957
『枠』第一芸文社 1965
「たかはししげおみ」は高橋重臣で天理大教授。『漢訳漢名西洋人名字典』『ゲーテとトルストイ』などの共訳があるようだ。「たかはししげおみ」として『四季』に作品を発表してもいる。「あとがき」にはこうある。
《カットは、リンゲルナッツの詩集「秘密の子供遊戯の本」にある作者自身の描いたかなしき戯画。共に板倉鞆音氏の秘蔵本より拝借したるもの。/記して同氏の友情に心からの感謝を捧げたい》
板倉鞆音とリンゲルナッツについては『spin』02の津田京一郎氏の論考を参照されたいが、和田博文氏は「海港都市のモダニズム」(『ユリイカ』総特集・稲垣足穂、二〇〇六年九月)で海港詩人倶楽部が発行していた第二次『羅針』にはノイエ・ザハリヒカイトの気配が漂っており、板倉鞆音はエーリヒ・ケストナーやヨアヒム・リンゲルナッツを精力的に翻訳したとし、《ノイエ・ザハリヒカイトを代表する日本の詩集といえば、山村順の『空中散歩』(旗魚社、一九三二年)と村野四郎『体操詩集』(アオイ書房、一九三九年)の二冊だろう》と書いている。旗魚は「かじき」と読む。
戦後もなお山村のリンゲルナッツへの共感は変わらなかった。