村上春樹『村上ラヂオ』(マガジンハウス、二〇〇一年、装丁=葛西薫、画=大橋歩)。梅津の交差点近くに(四条通の西の果てです)BOOKOFFができていたのでのぞいてみた。おどろくような本はなかったが、まずまず。『村上ラヂオ』が発売されたとき、今はなき河原町丸善の玄関すぐのコーナーに山のように積み上げられていたのを覚えている。
パッと見てあっさりしたデザインだと思った。ベストセラー確実でも表紙二色刷り。ナチュラルで控え目なたたずまいが意外だった。物足りない感じでもあったが、このテイストがその後のブックデザインのひとつの大きな流れとなったように思う。まあ、そんな山積み本は絶対に買わないけど、七年も経つとまた話はべつ。イラストがいいのだ。
エッセイと小説はどうもまったく質のちがう仕事のようである。ちょっといい小説家だと思ってもエッセイとなると読めないのが通例だ。エッセイストの小説は読む気にもならない。どちらにもコツがあって、そのコツが相反する性質をもっているのかもしれないが、その意味で村上春樹は小説もエッセイもとてもうまいと思う。ただし本当にすごい作家はエッセイとも小説ともつかない作品を書くものだ。