新村出監修『海表叢書巻一』(更生閣書店、一九一七年)。キリシタン関係の文献から近世日本と海外との交渉を伝える史料32篇を復刻したものが海表叢書。全六巻。昭和十九年には平楽寺書店から再刊され、戦後も何度か刊行されている。
たとえばこのなかの一篇『胡無知理佐无之略題言』はこんなかんじで始まる。
第一ヶ条 コンチリサン之上におゐてなすべき四ヶ条之心得之事
第二ヶ条 コンチリサンとは何事ぞといふ事並コンチリサンを勤むる道之事
第三ヶ条 コンチリサンを発すべき便となる観念之事
第四ヶ条 天主[ルビ=でうす]に立帰奉る罪人の可申上コンチリサンのオラシヨ之事
第五ヶ条 ハフチスモを授らざる人もコンチリサンを以科の御許を蒙る事叶ふといふ事
ちなみに、コンチリサン(完全な痛悔)、オラシヨ(祈祷)、ハフチスモ(洗礼)である。芥川龍之介の切支丹モノが連想される。
更生閣書店は、同志社大卒で新聞記者だった吉田文治が大正十三年に百万遍(田中北門前町)で創業した。初め吉田書店と称した。出版は昭和十年頃までのようだ。河原町六角下ルで新刊・古書販売も行っていたらしい。更紗の表紙に魅かれて値段を見ると安かったので思わず購入。函付。
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今日は何の日か、接骨院の前を通らなかったけど、調べると「塩の日」らしい。鏡開きでもある。