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大大阪イメージ

大大阪イメージ_b0081843_20523362.jpg


橋爪節也編著『大大阪イメージ』(創元社、二〇〇七年、装幀=濱崎実幸)。橋爪氏がこのところ精力を傾けて編集されていた「大大阪」の本が完成した。470ページの大冊で圧倒されるが、本文は文字が大きく読み易い。序論と章立ては以下のごとし。

"大大阪"イメージーー近代都市文化の新しい分析プログラムを求めて
幻影の大大阪ーーGREATER OSAKA から GREAT OSAKA へ
膨張する"大大阪"イメージ
葛藤する"大大阪"イメージ
伝播する"大大阪"イメージ/現代の"残像"
大大阪ヴィジュアル/テキスト抄
座談会"大大阪"イメージ探求

橋爪ファミリー、いや橋爪組とも言うべき、酒井一光、澤井浩一、毛利眞人、北川久、伊藤純、古川武志、高橋俊郎、船越幹央、武田俊哉、岩井正也、小川知子、明尾圭造、諸氏の執筆。多角的な大大阪イメージを追求してスリリング。

まずは1669年(寛文九年)にアムステルダムで発行された『モンタヌス日本誌』の挿絵から導入するところがいい。大阪は河口の街である。下図。

大大阪イメージ_b0081843_21141588.jpg


橋爪コレクションの展覧会で実物を拝見したが、なかなかスケールの大きな良い版画だった。これは"De Stadt OSACCO"と題されている。オランダ語で「OSACCO」は「オサッコ」だろうか? フランス語やドイツ語だと「SA」が「ザ」と濁る。少しだけ検索してみたところ「Samuel van Hoogstraten」という画家の名前を発音してくれるサイトがあった。明らかに「サミュエル」だった。ただし「OSACCO」はSの前に母音があるからどうなのか。現代と十七世紀では発音が違うかもしれないし。

どうしてこだわるかというと、「大阪」は十五世紀の末に「大坂」(おほざか)として出現した地名らしく、石山本願寺を蓮如が摂津国石山(大阪市中央区)に建立したのが1496年(明応5)で、後に山科と争って勝利し浄土真宗本願寺派の本山となるが、その寺内町が上町台地にそった坂にあることから「小坂」(をさか)と呼ばれており、本願寺が出来た少し後に「大坂」(おほざか)と濁って呼ばれるようになったらしいと聞いたからである。

むろん今の大阪は秀吉が石山本願寺の跡に大坂城を建設し、湿地帯を埋め立ててその基礎が出来た都市である。古くは「難波」と呼ばれていたように今よりもずっと内まで海に面した土地だった。近世にはザとサと両方が用いられていたようだが、現在の「大阪」という表記と「おほさか(おおさか)」という清音の呼び方は明治政府によって決定された。大坂は天領(徳川幕府の直轄地、慶喜は鳥羽伏見で負けて大坂城に籠った)だったので意図的に文字と呼び名を変えたのだろうか?

他にも面白いトピックが盛りだくさん。例えば、全国に「小京都」とか「〇〇の京都」と呼ばれる土地はたくさんある。全国京都会議という組織まであるらしいけれど、じつは「〇〇の大阪」も少なくないそうだ。八幡浜と今治が「伊予の大阪」あるいは「四国の大阪」。米子は「山陰の大阪」、郡山が「東北の大阪」、富山県高岡は「北陸の大阪」、茨城県の下館が「関東の大阪」「東の大阪」……だとか。これこそ大大阪だ。ちなみに大阪は「東洋のベニス」とか「東洋のマンチェスター」と呼ばれていた。

橋爪さんの旧著『モダン心斎橋コレクション』(国書刊行会、二〇〇五年)などとともに大阪ウンチクを語るには欠かせない一冊となりそうだ。

÷

間村俊一さんの句集『鶴の鬱』(角川書店)刊行を祝う会の案内状が届く(岡崎さん、これはウチの方が遅かったです)。来年の一月か……。ちょっと上京する機会はないだろうなあ。発起人がさすがの豪華メンバー(『たまや』の東京の寄稿者が中心)。上製クロス貼函入、本文一六八頁、頁一句活版組二十一ポ活字使用。凝ってるんだろうなあ。案内状に一句あり。

天上に瀧見しことや鶴の鬱 
by sumus_co | 2007-12-07 22:12 | おすすめ本棚
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