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林蘊蓄斎の文画な日々
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フリムン

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『季刊「銀花」』152号。メイン特集は「沖縄、藍の風 布人と画人と」。沖縄の布は大好き。古い芭蕉布の着物を持っている(着るためではなくコレクション)。「きもの蒐集に人生を賭けてしまった男ー當銘正幸の話」には興味をひかれた。一九六〇年代、内地(本土)から沖縄の民具を買出しに来る人が出始め、それを手伝っているうちに、沖縄に残しておくべきだと思い立って蒐集にとりかかったそうだ。民家を軒並み訪ねて回り、絨毯と芭蕉布や花織とを交換した。農協職員をしながら家族もかえりみず、フラー(ばか)、フリムン(ばか者)とののしられながらコレクションに励んだのだという。

芭蕉布(バサー)も、帯なしから帯をつける内地ふう、南洋に出稼ぎしていた時代にはロープをほぐして織るのが流行したりと、時代とともに変化しており、庶民の歴史が織り込まれている。カンカラ・サンシンと同じようなブリコラージュ、手近にあるもので間に合わす精神が発揮されているということか。

その他、巻末に戸田勝久さんが与謝蕪村について熱く語っている。『古本屋を怒らせる方法』の紹介もしていただいた。深謝です。

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昨日の『周作口談』の続き。原民喜のところもいい。無口な原民喜とおしゃべりの遠藤周作という取り合わせが目に見えるようだ。原が国電の線路に身を横たえて自殺したとき(一九五一年)遠藤はリヨンでかなり辛い留学生活を送っていた。下宿に大久保房男(『群像』編集長)から二通の手紙が届いた。一通は大久保のもの、もう一通は原の遺書と遺品のネクタイだった。

《それから十年以上もたった。原さんの名も、名作「夏の花」も今は語る人は少ない。しかし、読者よ、もし機会があれば、この孤高で清純だった作家の本を開いてください。人間にはその人のことを思いだせば、胸がいたみ、その人が自分にとって一つの良心であるような存在にめぐりあうことがあるものだ。私にとって原さんとは、そのような人だったのである》

ええ話やなあ……と思って調べてみると、実際にはかなりの本が出されていた。没年には細川書店から『原民喜詩集』、五三年には角川書店から『原民喜作品集』二巻、翌年、角川文庫『夏の花』、さらに翌年『昭和文学全集第53巻』(角川書店)、『戦後十年名作選集第7集』(光文社)、五六年に『原民喜詩集』(青木文庫)。決して誰もが忘れ去ったわけではなかった。六五年には芳賀書店から『原民喜全集』二巻も出ている。ちなみに芳賀書店はエロ本ばかりを出版していたわけではない、文学書・思想書の版元でもあった。芳賀版『原民喜全集』の宣伝文句を大江健三郎が書いている。

《原民喜を、われわれが記憶しつづけないとしたら、文学がどのように力をもつでしょうか》

文学にさしたる力はないのかなとも思うが、小生も駒井哲郎の装幀した『夏の花』(晶文社、一九七〇年)は大事にしている。

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畠中さんよりお電話をいただく。明後日のことなど少し喋る。ルミナリエもはじまりました(地元の人には嫌われているようだけど)。ちょっと気晴しをしてくださればと思います。楽しみにしています。皆様もぜひご参集ください。とくに予約は必要ないようですが、椅子席には限りがありますのでご注意のほど。
by sumus_co | 2007-12-06 21:23 | 古書日録
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