N氏より
ゲント(GHENT)の風景写真を頂戴した。いい感じに写っている。夕暮れ時がとりわけ美しい。
《ゲントは懐かしい町です。いつごろいらしたのですか? 運河のすてきな町ですね。もう一度舞い戻りたいものです。ゲントの町並みは描かれました?》
ガン(ゲント)は一九七六年の春に初めて訪れたが、ブリュージュに滞在して、そこから出かけたように思う。八〇年にも再訪した。そのときに簡単なスケッチをしたのが残っているが、ブリュージュとともに、あまりに絵葉書的な景色だったので、油絵にはしていない(あ、そう言えば、小品を一点描いたかも)。フランドル派の作品を見ることだけが目的だったようなものです。
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書肆砂の書より小さな目録が届いた。A3ペラの裏表に印刷し、中央にスリットを入れて折り畳む方式で12頁(裏もあるので24頁)の小冊子に仕立てている。ボナ・ド・マンディアルグ『カファルド』(コーベブックス、一九七六年)にはかなり惹かれたが、も少しお手軽なものを注文した。デイリースムースのロゴ画像(写真)にしているGalilee社の本も一冊出ていた。和洋を問わず、神秘主義、評論、文学、ポルノグラフイーなどの柔らかい硬派に力点を置いた目録、今どき、砂の書主人の目線がけっこう新鮮に映る。
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みずのわ出版の新刊『宮本常一のメッセージ』が届く。周防大島郷土大学の講義録。佐野真一氏、立松和平氏らの講演が収録されており、とても読みやすくできている。立松氏の話のなかに法隆寺と伊勢神宮とで修行しているというのがあるが、こんな違いが面白い。
《伊勢神宮は古式豊かに、轆轤の摩擦熱で火をつけるので「あんなふうに火をつけるのかなあ……」と思っていたら、法隆寺ではチャッカマンでした。春日大社の宮司さんにその話をしたら、「それは言うな、火には清らかな火とそうでない火があり、チャッカマンは清らかな火とは言えない」といわれました。ところが仏教はそういうことにこだわってないから、構わないんです》
仏教はプラグマティズムだったか。[装幀=林哲夫]に書影あり。