永井宏『a hundred poems』(WINDCHIME BOOKS、二〇〇三年、装幀=八起十利好/平地緑)。
WINDCHIME BOOKS らしいオシャレな詩集。版元の住所は神奈川県三浦郡一色町葉山だが、ここには奥成達さんが住んでおられ、用美社がある。近所の古本市場の105円棚にあった。不思議なことだ。そうそう、用美社と言えば、加藤一雄はどうなったのだろう?
路上の植草甚一 永井宏
昔、植草甚一というひとがいて
新宿でよくみかけた
白い髭をたくわえ、空色のジャケットやペイズリーのスカーフを身につけ
ニューヨークによく出かけては、本屋を覗き
ミステリーを始め、趣味人の目つきで見つけた本を山ほど買って
ホテルの部屋を占領させる、そんなひとだ
毎日の生活は
買い漁った本などを積み上げた部屋に一日篭り
ポットに詰めたコーヒーを飲み、葉巻をふかし
本を読み
ジャズのレコード眺め
ときどきはロックのレコードにも興味を示した
そして、個人的な経験や視線から生み出したエッセイをたくさん書いて
僕らにペダントリーな風景の描き方を教えた
どれひとつとして、そこから具体的に学ぶべきものはなかったのだけど
そんな生き方が素敵だと意識だけはさせられた
(中略)
昔、植草甚一というひとがいて
彼を新宿でよくみかけた
だから、きっと、紀伊國屋の隣のギャラリーで目が合ったとき
一度、こんにちはと、親しみを込めて挨拶をしたんだ
÷
白水社から出る本の再校が届いたので、じっくり読み直す。単純な年号の間違いとか漢字の間違いとか、ポカミスがまだいくつか残っていた。あぶないあぶない。でも、まあ最終的には、読者の方々に校正してただきましょう、ということで、よろしく。このまま進めば、八月に刊行予定です。