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林蘊蓄斎の文画な日々
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変態知識 第二号

変態知識 第二号_b0081843_20222565.jpg


『変態知識』第二号(半狂堂、一九二四年二月)。『科学知識』とは「知識」つながり。当然ながら内容には何のつながりもない。宮武外骨による川柳研究雑誌。《恥でない誇れもしない妙味あり》と一頁目の見出しにある。川柳は解読がきわめて困難だという意味である。卷中から本に関する川柳を二つほど引いてみる。

 貸本屋何を見せたかどうづかれ

 うたゝ寝の顔へ一冊屋根をふき

貸本屋は堅物の客に見せてはいけない本を見せたのであろう。一冊屋根をふきというのは、顔に開いたまま本を載せた姿をいう。もう一句、本には無関係だが、最近の実感である。古川柳だというから、今も昔も変わらない。

 失念といふは立派な物忘れ

巻末に第一号の感想集があり、中に大阪柳屋主人・三好米吉からの便りが紹介されている。《変態知識拝読、敬々服々に候「此雑誌廃姓外骨主筆也」かうして川柳に御陶酔の御心境、羨ましく存候「むらさきは大津みどりは島の内」和歌と俳句の柳屋にもこんなのがあります》

また、外骨は第二号の刊行が遅れたことを詫びているが、その理由がちょっと面白い。『震災画報』の第六冊を編輯し終わったのが大正十三年一月十四日。ホッと一安心していたところ、翌十五日朝に強震があり、《復も印刷所の活字ケースが顛倒したので、それがため数日遅れる事になつた、其気のユルミで此二号の編輯が予定通りにやれなかつた》と書いてある。関東大震災の後にもかなり強い地震が何度もあったようだ。

÷

この間、ちょっと書いた、小生の古本エッセイ集、契約書に署名捺印して送り返した。遠からず出版されることになるだろう。版元は白水社である。古本屋が隣にあって、古書会館、八木書店のすぐそば。タイトルは……いや、はっきり決まってからにします。最近の白水社は坪内さんのシブイ本『変死するアメリカ作家たち』や斎藤美奈子『それってどうなの主義』など語学関係以外も幅広く出しているのだ。

先日の『辻馬車』講演会のために白水社が昭和五年から七年にかけて江川正之に文芸出版をまかせて次々に個性的な出版をした、という話をおさらいしたところだった。第一弾として昭和五年九月に『怖るべき子供たち』(コクトオ、東郷青児訳)を刊行。これが良く売れた。十月に小林秀雄『地獄の季節』、十一月に『世界選手』(モオラン、飯島正訳)。昭和六年には小林の『文芸評論』、横光利一の『機械』など次々に刊行している。調子に乗り過ぎて、デコブラ『恋愛株式会社』(昭和六年)を大宣伝したにもかかわらず、さっぱり売れずに、派手な文芸路線からは撤退した。クビになった(?)江川は限定版だけの出版に乗り出した、それが江川書房である。今では絶対に考えられないだろうが、白水社で江川が文芸出版を任されたとき、なんと弱冠二十歳だった(らしい)。やりますなあ。そうでなければ、あんな歴史に残るような本は作れなかったに違いない。

÷

脚長き羽蟲並ぶや二月尽
by sumus_co | 2007-02-27 21:21 | 古書日録
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