
『科學知識』第十巻第三号(科学知識普及会、一九三〇年三月、表紙画=西田正秋)。昨日、録画で「ローレライ」(樋口真嗣、2004)という潜水艦映画を少しだけ見た。潜水艦を舞台にした映画といえば「U・ボート 原題 : Das Boot」(ヴォルフガング・ペーターゼン、1981)は面白かったなあ……ということで、この『科學知識』にも「世界の潜水艦」という記事が載っている。
それによれば、近代的潜水艦の出現は一八九九年フランスで進水したナルバノだとのこと。一九〇二年にはアメリカがA型を設計し、日本はそれを一九〇四年に初めて五隻注文した。ドイツがフランスの潜水艦を模倣してU型の第一艦を建造したのが一九〇五年。一九〇七年頃には欧米各国が競って建造し、第一次大戦開戦当時の保有隻数は英国77、米国48、フランス49、ドイツ28などとなっており、日本は13隻で七位。ところが一九一八年にはドイツ170、英国156、米国114、イタリア73、フランス56となったが、日本は16とほとんど増やしておらず、潜水艦の重要性を認識していなかったことが分かる。むろんその後急速に増強してゆく。A型をベースにしたためかどうか「イ号」という名前が付く。
しかし潜水艦といえばやっぱり「ノーチラス」号だろう。ジュール・ベルヌの『VINGT MILLE LIEUES SOUS LES MERS』(一八七〇年)に登場するネモ船長の船。これは一八〇〇年、ナポレオンの委嘱によってフランスに住んでいたアメリカの発明家ロバート・フルトンが考案した実在の潜水艦 NAUTILUS(オウムガイ、ギリシャ語の「船乗」から)にちなんだ命名であった。四人の乗員で六時間潜れる圧縮空気を積み込んでおり、なんとスクリューのプロペラは手動であった。折りたたみ式の帆も付いていた。
『VIGNT MILLE LIEUES SOUS LES MERS』は、海底2万マイル、海底二万マイル、海底二万里、海底二万海里などと邦訳されている。ただし LIEUE という古いフランスの距離単位は約四キロだということなので「マイル」ではないし、海里(nautical mile 約1.8km)でもない。「海底二万リーグ」という訳もあるようだが、1 league は3マイルとのことなので、やはりぴったりとせず、結局は「海底二万里」(私市保彦訳)が妥当か。どうでもいいかも知れないけど。
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