『科學知識』第十一巻第六号(科学知識普及会、一九三一年六月、表紙画=杉浦非水)。『彷書月刊』二月号が「特集・板垣鷹穂の照準像」なので、ふと思い立って引っ張り出してみた。この号には板垣鷹穂は執筆していないが、もう一冊あった昭和五年三月号には「軍艦の形態美に就いて」という見開き二頁の記事を執筆している。
先日、新聞(朝日、2007年2月8日)に「「学天則」復元へ」という記事が出ていた。「学天則」とは大阪の生物学者・西村真琴が昭和三年の京都大礼博のときに作ったロボット。大阪市がそれを2100万円かけて今年度中に復元するそうだ。俳優の西村晃は真琴の次男で、「学天則」の登場する映画「帝都物語」(実相寺昭雄、1988)では父親役を演じていた。
で、この『科學知識』に西村真琴が「表情人造人間ガクテンソクの創作」という表題で四頁にわたって執筆している。西村はロボットを二種類に大別するところから説き始める。
A、実用的人造人間
B、芸術的人造人間
「学天則」はBであり《まだこのB系統に属する人造人間が世に進出してゐないから、このスタートを我国から切つて見ようといふ意気込みが、ガクテンソクの製作に着目した理由である》と述べ、製作の苦心とその解決、像容の象徴について語り、最後にこう締めくくっている。
《京都大礼博に出品以来、五度の改造によつて其都度進展を観、只今は鳥の鳴声を聞いてほゝえむやうに又笑ひ声の出るやうに専ら考案中である。》
現在の目からしてもこの発想はユニークなのではなかろうか。
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冴返る鉛筆の芯研ぎ細り
鉛筆で古本のデッサンを。鉛筆は手軽だし、子供の頃からずっと使っているのだが、扱いは案外と難しい。「冴返る」はいったん緩んだ寒さが戻ること。