黒田維理(くろだ・いり)『SOMETHING COOL』(
如月出版、二〇〇七年)をいただく。オニオン書房から一九五八年に刊行された同名詩集の復刻版だそうだ。新書より少しタテ長(天地は欧米のペーパーバックに等しい)。写真は清水俊彦。本文は横書き。すみずみまでクール。「解体する家具」全文。
移動しはじめる
少しづつ
不平を言いはじめる
その家具ら
椅子 テーブル 寝台 衣裳戸棚 帽子掛け
etc……
それらの解体する部分らは
それぞれ口留め料を請求する
煙突の入口の薄暗い箇所で
ぼく
は最後の1本の木製の肢を捉えようとする
《「美」とは本来,無価値なものである.風景や空の雲が無価値であるというような意味において. 詩人は「美」の発明家である. 思想のような退屈なものでさえ「薔薇の薫りのように」表現したいと思いたいと思うのである. あの俗悪な「ウエイスト・ランド」を書いたイギリスの詩人でさえも. そこに黒田維理のナイロン的のワライがあり, 砂的の抵抗がある》
とこれは北園克衛による本書「PREFACE」からの引用。一九五三年に黒田は北園の「青ガラス」のメンバーに加わり、諏訪優や井原秀治らと「will」 というリトル・マガジンを発行した。他に詩集『ナポリのナプキン』(VOUクラブ、一九五六年)がある。
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月曜からずっと古本エッセイの原稿取りまとめにかかりきりだった。本日、プリントアウトし、テキストを焼いたCDを添えて仲介者であるT氏に発送。審査用に渡していた内容を大幅に入れ替えて古本テーマ二十九編に絞った。『coto』や『kucing』といったミニコミに発表したものが中心。まあ、この構成でいいのではないかと思うものの、まだ未確定要素は多分に残る。はっきり契約が交わされたら公表したい。すぐ横に古本屋のある出版社(って神田にはけっこう多いね、彷徨舍は古本屋の上だし)。
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以前よくコピーや宅急便を出しに行っていたローソンが、久しぶりに通ると(というのはコピーはセブンイレブンへ行くようになり、宅急便は扱わなくなったこともあるし、またクロネコカードを作ったので直接ヤマト運輸事務所に持ち込むか、取りに来てもらうようになったため)、全面改装の最中だった。壁床を全部剥がして、駐車場には棺桶が何個も埋められそうな穴を掘っていた。何をするのだろう。