中之島図書館で「雑誌“辻馬車”と波屋書房の周辺」の講演を無事終了することができた。ご来場いただいた皆様には御礼申し上げます。じつは、最初の五分間、主催者からの演者紹介があった。これは誤算だった。終わりの方になって予定よりも時間が足りないので、余計なことをしゃべり過ぎたかと後悔したのだが、紹介の五分を計算に入れていたなかったことに、終わってしばらくしてから気づいた。馴れないとはこういうことだ。
柳屋三好米吉についての熊田氏の講演はとても興味深いものだったが、ホール内を暗くして、ずっとスライド(パソコンから出力)を映写していたので、小生のすぐ後ろの席の老人が居眠りを始めた。グググウウウウ、ひゅるるる、グググググ……。そんなに大きな鼾ではないのだが、みょうに耳障り。膝頭でもつねってやろうかと思って振り向くと、松本清張そっくりのおじいさんだったので止した。
終了後、熊田氏、ワイ氏、エス新聞のエム記者と一緒に天神橋商店街に新しくできたハナ書房へ向かう。「いい古本屋ができましたよ。元コレクターの方だそうですから、早く行ったほうがいいですよ」と聞かされていたところ。昨年末に開店したらしい。
すぐには場所が見つからず、矢野書房さんに連れて行ってもらう。矢野書房の少し南。ビルの細い通路を入って、突き当たりの二階。たしかに美術書を中心としたいい品揃えである。美術以外に、趣味系や大阪モノ、プロレタリア関係などのジャンルにも目配りが利いている。値段も妥当(ご多分に漏れずご主人が「日本の古本屋」をチェックしておられた)。安心感のある店である。熊田氏がデコブラ『恋愛株式会社』(東郷青児訳、白水社、一九三一年、装幀=東郷青児)を見つけて購入した。ちょっと驚いた。