新潟の詩人斎藤健一さんより『乾河』48号をいただく。発行者は朝比奈宣英(芦屋市若葉町6-2-344)。失礼ながら詩は斜め読み。斎藤氏のエッセイには浅井十三郎が取り上げられている。常に新潟の忘れられた詩人を気にかけ、紹介に努めておられる。浅井は《自分で同人詩誌を出すために家の畳まで売った詩人である》とか……ああ。
冨岡郁子さんのエッセイ。以前は詩誌『yuhi』にパリの国立図書館をレポートされていたが、今回は「シレーヌ」という出版社について。ジャン・コクトー、サンドラール、ポール・ラフィットが一九一八年に始めた「Éditions de la sirène」である。冨岡さんは《後々の本作りに大きな影響を与えたらしい。つまり、活字、紙、装幀、挿し絵にも心をくだき、本をただ読むためのものだけでなく、一つのオブジェとした、最初の出版社らしい》とパスカル・フーシェに従って書いておられる。
興味が湧いたので少し検索してみると、コクトーらしい洒落た作りのブロシェ(並装)が多いようだ(下図)。コクトー、サンドラールはもちろんのこと、アポリネール、ペトロニウス、ジョイス、ボードレール、ポー、ロートレアモン、カサノヴァ、ヴィヨン、ペロー、アンデルセン、マラルメ、千一夜物語、オマール・ハイヤーム、デュフィ、プーランクなどなど。第一次世界大戦終了前後ということを考えれば、天晴なレパートリーであろう。日本の文芸出版にも少なからぬ影響を与えたに違いない。
シレーヌというのは本の中央に着いているイラストで分かるようにサイレーン、人魚の姿をした海の精。美声で船員を惑わし難波させるという(スナメリかイルカの類いかな?)。
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某新聞付録雑誌の取材を受ける。『神戸の古本力』を紹介してくれるというので、神戸の古本屋について、というか古本について小一時間語る。女性記者さんだったが、京都在住で三月書房の宍戸さんに可愛がられているというだけあって、古本はあまり知らないんですと言いながらも、ちゃんと話が通じた。
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猫額洞さま
お先に失礼しました。リンクしていただければ有り難いことです。猫額洞さまの何気ない写真がいいですね。