『書彩』第九号(百艸書屋、一九六〇年五月)。Tさんが古書展で見つけて譲ってくれた。『神戸の古本力』で紹介した神戸元町の百艸書屋・岸百艸が発行していたガリ版雑誌。表紙の版画はオリジナルを貼付けている。参考までに目次を掲げる。
表紙版画……鈴木菫
近世民謡源流攷……赤松啓介
播磨国鶴林寺(短歌)……谷義一
本屋の棚……仲郷三郎
典籍語彙(三)
図書形式のねらい(その一)……落合重信
鶉衣唱(俳句)……岸百艸
一ペニーの胸が水泡をたててゐる(詩)……亜騎保
地方に埋もれた子規の手紙……山田宗作
郷土文学メモから……宮崎修二郎
猿飛佐助……足立巻一
子供の日(詩)……吉井啓
流氓私語(2)悲願十二冊……潮壮介
七人の侍を嗤ふ……岸百艸
「古書目録」に見えた郷土資料(三)……島田清
売書目録
編輯後記……百記
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蟲文庫さんより『瀬戸内作文連盟』4号(瀬戸内作文連盟事務局、二〇〇六年十二月)をいただく。『蟲通信』5号同封(メルマガ「早稲田古本村通信」連載のうち『文学全集一掃顛末記」収載、他)。『瀬戸内作文連盟』は出海博史氏の編集発行。氏の他に、蟲文庫田中美穂、越路亜希子、加藤優美の皆さんが、ほんわかエッセイを載せている。蔵書票の頁、カラー・グラビア(?)もある。(お問い合わせは欄外「メモ帳」より蟲文庫をクリック)
デイリー・スムースがブログ化して第一回目に紹介させていただいた雑誌である(欄外「以前の記事」の2006年4月をクリック)。月日が経つのは早い。
出海氏の「時計の針」は松山にある
六時屋という菓子屋の話。《昔、ここの看板は丸い時計で、その名のとおり六時をさしていた》そうで、そこを通る度に、看板だと分かってはいても、その時計を見上げて六時であることを確認し、なぜか安堵したという。情景が浮かぶ。
たしか鍋井克之のエッセイに時計屋の看板時計について書いたものがあった。その絵も描いているが、丸い大きな時計が路上に張り出している街景である。鍋井の絵のなかでも印象に残る一点。ふと思い出した。
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『“手”をめぐる四百字』、エッセイとして冴えを見せていたのは出久根達郎「キッス」。こういう短いものを書かせると実にうまい。浅田次郎の「男の手」もプロの手並み、鮮やか。車谷長吉「悪の手」、けっきょく自慢かな……。楽しい本だ。