昭和二十九年六月三十日発行
編集兼発行者 下中弥三郎
印刷所 東京印書館 東京都板橋区成増町二五三
発行所 株式会社平凡社 東京都千代田区四番町四番地一
エッセイ 「絵の値段というもの」p6-7
デッサン 「デッサン(原寸)著者」 p7
[内容]
パリで収入があれば絵を買いたくなる。しかしそう簡単に好みのものが現れない。ピカソならどんなカケラでも引っ張りだこである。はがき大のデッサンで17,8〜24,5万円。セーヌ川の川っぺりのギャラリーでは偽物を堂々と売っている。シャルパンティのガヤレリーで大きな入札がありセザンヌが3200万円になった。ルノワルには偽物が多く、二、三流の画商のショウウィンドウでちょくちょく見かける。パウル・クレーがピカソと同格に思っているフランス人が多い。《千万円ぐらいの金をもつて、小口なものを買つて歩いたら、それもまたずいぶん面白いと思う》