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あてやかに月光町なる姉妹

あてやかに月光町なる姉妹_b0081843_2049222.jpg


甲鳥書林の経営者・中市弘の歌集『山望』(甲鳥書林、一九七六年、装幀=濱辺万吉)をある方より譲っていただいた。甲鳥書林は『sumus』4号で特集した京都の版元だ。国会図書館蔵本のコピーは所持しているが、やはり現物を持っておきたい一冊だった。巻頭は「戦犯—ある回想」という連作。中市が特別に戦争協力したというわけではなかろうが、おそらく戦時中の役職などからひっかかったのであろう。

 国敗れ伊賀の連山暮れかすむ肉にくい入る手錠冷たく

 どの窓も閉されており寒き夜をするどく侵せる音ひそめゐる

 迷ひゆく血の色濃き霧のなかわが雄叫びの野にひろごりぬ

巻末の略歴(自筆だろう)を簡単に紹介しておく。明治四十四年十一月十二日、三重県の上野市に生まれる。父は中村憲吉の従弟にあたり、上野で医を業とした。昭和十三年日本大学法学部卒業。昭和十五年五月、甲鳥書林を京都市下鴨に設立。昭和十七年四月、東京営業所を開く。同年結婚。十八年、戦時企業整備により天理時報社出版部、古書通信社などと統合し、養徳社を設立、代表取締役に就く。海軍予科練の全教科書を印刷発行。昭和二十年、職を辞し郷里に蟄居。二十二年、京都に甲鳥書林を再建し、三十五年には本社を東京に移転する。

と、まあこのていどのことだが、矢倉年の名も出なければ、甲文社についても無視しているのはどうもすっきりしないものを感じる。

÷

『彷書月刊』11月号。第一回古本文学大賞発表。西村義孝氏の「それでも探す吉田健一本と佐野繁次郎装幀本」が特別奨励賞に入った。たいへんめでたいことである。大賞は恩田雅和氏「漱石の『社会と自分』」。たしかにきっちりと書けていて内容もしっかりしている。ただしこれが「古本文学」かどうかは多少疑問が残るように思う。一方の西村氏はまぎれもなく古本テーマである。こちらは文学かどうか、そこがやや問題なのだけれども、西村氏の等身大の姿がそのままポンと提出されたようで、西村ファンとしては拍手喝采したい内容になっている。審査員の感想では河内紀さんの意見に同感するところが多かった。

「坪内祐三×亀和田武・刊行記念トークショー抄録」が面白い。東京堂書店で行われたものだそうだが、直に聴きたかった。ビレッジ・バンガードはさえないジャズ喫茶で、中上健次がDIGをおとしめるためにもちあげているだけだ、というような指摘は『喫茶店の時代』改訂版にぜひ挿入したいものだ。

目録ページ、船橋市の古間木文庫に『sumus』のバックナンバーが2〜9と11の9冊出ていてびっくり。2号と3号は2,500円も付いている。

÷÷

出ていると言えば、『林哲夫作品集』(風来舎、一九九二年)がアマゾンに出ているとある方が教えてくれた。定価で売っている。これは300部しか作らなかったのでけっこう珍しいかも。

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装幀の仕事を頼まれた。戦前の浅草で育った女性の回想的エッセイ。なかなかよく書けている。装幀に使って欲しいと着物の裂が同封されていた。かつては浅草に月光町という町があったそうだ。昔の地図に当たってみると、竜泉寺町と下谷町と千束町に囲まれた一区画である。

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岡崎さま

何をおっしゃいますやら、お忙しいこと何よりです。フリーは仕事のあるときに頑張らないとね! 毎日新聞見ましたよ、大きな顔写真が出ていてびっくりです。
by sumus_co | 2006-10-27 21:50 | 喫茶店の時代
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