『早稲田青空古本祭2006』目録とうわさの『早稲田古書店街地図帖古本共和国2006-2007』が届いた。ハルミンさんの表紙とイラスト地図、手書きの書店紹介がいい味出してます。そしてまた、堀江敏幸氏のエッセイ「新宿の西から早稲田の西へ」および「もうひとりのポチョムキンがいた町で——早稲田界隈散歩&インタビュー篇」(文責=柳瀬徹)がすっごくいい。これ、フリーはもうけものでしょう。
目録の方で瞠目したのは滝口修造の『星と砂と 日録抄』(書肆山田、一九七三年)特装版、限定三十五部、十八万円。『渡辺一夫著作集』(筑摩書房、一九七六年)が45,000円。渡辺の著作集はなぜかあまり安くなっていないが、この値段にはお買い得感がある(二冊の函背に少キズ)。
そしてこれもうわさのコクテイル文庫『借家と古本』。こちらは『おに吉』の石丸澄子さん装幀。「山口瞳二代目ファン」はスムース文庫版には収録されていないが、じつにうまい。先日の『modern juice』最新号の料理の話も良かった。ある大先輩が「魚雷ていどの才能じゃあな」と、愛情を込めて(だと思う)おっしゃっていたが、そんなことないですよ、と言いたい。奥付の「魚雷」ハンコが利いている。
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月の輪さんと電話でしゃべった。ちょっと驚くべき(きわめて個人的な基準だが)本を月の輪さんが仕入れたと聞いたからだ。来月上京したときに見せてもらうことになった。う〜ん、そんなもの出してくるか、と、そういう品物である。実物を見て、報告できるようなら、報告したいが……無理かな。
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南陀楼綾繁氏より昭和十四年の『全国主要都市古本店分布図集成』(雑誌愛好会編、一九三九年)のコピーが届く。氏の日記に八木福次郎さんからお借りしたとある資料で、神戸の部分を「神戸の古本力」に使わせてもらうつもりなのだ。原版はガリ版だが、昭和十四年という時期を考えれば貴重このうえない。昭和十五年には古本の定価案というのが協議され、翌年一月には古本公定価格表が全国の業者に配られる、そんな時代の前夜である。