煙草をまっすぐ銜えたままバイクを走らせている女性がいた。煙草の火が赤く輝く。

御幸町教会(ヴォリーズ設計)の鉄の門扉。
⁂
『彷書月刊』9月号。特集は西村伊作。灯台下暗し、照らしてみると文化学院の特集なかなか面白い。文化学院資料室の川部洋二氏が触れている西脇マージョリー(西脇順三郎の妻、文化学園で英文学を教えていた)。例の『馥郁タル火夫ヨ』の表紙画を描いたのが彼女だったのか。西脇夫妻らも参加する「文化学院研究会」が中心になって発行した雑誌『アヴリル AVRIL』(一九二九年五月一日創刊)がカッコイイ!
ちなみに西村伊作の父母は熱心なクリスチャンで伊作はイサク、妹は真子(マコ=マルコ)、弟は七分(シチブン=スティーブン)と名付けられた。いとこたちにも醒(サメル)、起(オキル)、徐歩(ジヨブ)、鱶(フカ)などの名前があったという(上坂冬子『愛と反逆の娘たち』中公文庫、一九八三年)。
伊作の子供らはアヤ、久二、百合、ヨネ、永吾、ソノ、ナナ、八知、九和。国際性を考えてローマ字表記のし易い名前にしたという。なんとなくナンバリングにはなっているようだが。
⁂
カエさんからこんなメールがきた。
《テーシャツ!私の父はマジそう発音する。T=てー、D=でー。ゆえにTシャツ→てーしゃつ、CD→しーでー、TDK→てーでーけー。父の母(大正モガだった)はセーターをすうぇーたー、ズボンをとらうざー、カレーをかりー(中村屋ご指定)、と発音してた。原音に近いよね。女性下着のスリップをしゅみーずと言っていたけど原音はスムーズだろうか?》
おお、なるほどね。わが母はデパートのことをデバートという。なおシュミーズはフランス語chemiseである。「シャツ、ワイシャツ」の意味。chemise de nuit(夜のシャツ)でネグリジェのこと。もとをたどれば、中世の男女が着用した上着と同じ長さの肌着がシュミーズで、十四世紀までは男性用のものをshirtまたはsherte、女性用のものをsmockと呼んだそうだ(キャラシベッタ『フェアチャイルドファッション辞典』鎌倉書房、一九九二年)。
ついでにネグリジェ(négligé)もフランス語で「無視された」「ぞんざいな」という形容詞から。男性名詞として「飾り気のなさ」「婦人用の薄物の部屋着」などの意味に。元来は寝室や室内で着けた普段着、ゆったりとした長いローブに仕立てることが多く木綿のシンプルなものから装飾のある豪華なものまでさまざま、十八、十九世紀には男女ともに用いたという。