尚学堂で求めた『尋常小学読本巻之四』(文部省編輯局、一八八七年)の挿絵を調べていると、上野の地図がでてきた。明治十年代末頃の上野。

博物館は今も同じ場所。華族会館とあるところは西洋美術館と科学博物館、学士会館になっている。教育博物館は図書館、東京芸大、あたりか。
なかに大仏という表示がある。これは
上野大仏である。そもそもは寛永八年(一六三一)に建立されたもののようだが、幾度かの地震で倒壊・再建を繰り返した。この明治二十年頃は安政二年に修復された大仏で、関東大震災によって頭部が落下したまま放置され、戦時中には金属として供出されて、今は面部だけが保存されている。
なお西郷隆盛の銅像は明治三十一年十二月竣工なので当然まだ存在していない。ついでに書いておくと、西郷像の作者は高村光太郎の父・高村光雲だが、連れている犬を作ったのは後藤貞行だという。光雲は『幕末維新懐古談』(岩波文庫、一九九五年)で一言も西郷像には触れていないが、楠木正成像の制作についてはかなり詳しく回想している。そして楠公像の馬を作ったのも後藤貞行だった。胴体は山田鬼斎で、光雲は監督という立場で顔だけを作ったのだそうだ。そしてまた馬体の原型を作ったのは新海竹太郎であった。東京を象徴する二体のブロンズ像、その両方の動物を手がけた後藤貞行、ちょっと面白い。
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山崎書店より「京都岡崎公園アートフェスティバル」の案内が来た。
『ルーブル美術館展』のすぐ脇で、パリ・モンマルトルの丘のような、作品展や蚤の市、パフォーマンス等、愉快な広場が出現! 主催は神宮道商店街組合。
日時:9月16日(土)17日(日)18日(月祝)
場所:岡崎公園(市美術館と京都会館の間の広場)
参加者募集中とのことなので詳しくは山崎書店へ。