やはり50円で天神橋筋の天牛で買った直木三十五『青春行状記・後篇』(春陽堂日本小説文庫、一九三二年)。その挿絵が気になったので掲げてみる。
まずは喫茶店の場面。昭和五〜六年頃の様子だろう。本文中にこういう会話がある。
《資生堂へ入つて、何か、冷たいものでものんで——電話をかけて——何か、うんと、御馳走させて、それから、御小遣ひをもらつて——何う、こんな企画(たくらみ)》
さらにこちらは編集室である。女性ばかりの社員だと思ったら、帝都婦人という雑誌社のようだ。
挿絵画家は明記されていなかったが、「gan.」というサインがあるし、書名で検索してみると、単行本は中央公論社から前年の昭和六年に出ており、その装幀と挿絵を担当しているのが小池巌だった。他に吉田瑞穗『朝の稻こき』(中央公論社、一九四二年)などの装幀もある。
小池巌は、大正十三年に杉浦非水らが結成した「七人社」のメンバーの一人。大正十五年に三越で七人社第一回創作ポスター展覧会開催。翌昭和二年にはポスター研究雑誌『アフィッシュ』を創刊している・・・ということが分かれば、上の図柄のアールデコふうな画風が納得できる。
⁂
ナベツマ・ジャンクに招き猫大集合!