青田には少々早いし、またこの青田の青は緑だから、ちょっとどうかとも思うが、昨夜の落胆ぶりを作ってみた。ジーコがヒディンクに負けたということであろう。
Kさんより『さようなら百点美術館』(百点美術館、二〇〇六年)をいただく。福島市にある個人美術館が今月閉館する。その記念画文集。実業家河野保雄氏によるかなり渋いコレクションだ。青木繁、関根正二、長谷川利行、松本竣介、鶴岡政男、岸田劉生、村山槐多など洲之内徹と共通する面も多い。彼らの作品がさほど高価でない時期に収集されたということだが、バブル崩壊の影響により一九九六年に主要作品は府中美術館に譲渡され、河野コレクションとして公開されているそうである。その後も蒐集は続けていたが河野氏が高齢のため十六年の歴史に幕を引くことになった。下図は三岸好太郎。
クボタさんより淺原六朗『てるてる坊主の歌』(宝塚出版、二〇〇五年)いただく。浅原は一八九五(明治二十八)年信州池田町生まれ。早稲田の英文科を出て『少女の友』の編集に携わった後、小説家となる。戦後は教鞭をとりながら句作に励んだという。一九七七年歿。昭和三年に「或る自殺階級者」を『新潮』に発表して新興芸術派の一人として注目された。童謡「てるてる坊主」の作詞をしている(曲は中山晋平)。ただ「てるてる坊主」が『少女の友』一九二一年六月号(実業之日本社)に発表されたときには以下のような詩だった(旧漢字は改めた)。
てるてる坊主の歌
てるてる坊主てる坊主
あした天気にしておくれ
もしも曇つてないてたら
空をながめてみんななかう
てるてる坊主てる坊主
あした天気にしておくれ
いつかの夢の空のよに
はれたら金の鈴あげよ
てるてる坊主てる坊主
あした天気にしておくれ
わたしの願ひをきいたなら
あまいお酒もたんとのませう
てるてる坊主てる坊主
あした天気にしておくれ
それでも曇つてないてたら
そなたの首をチヨンと切らう。
東京文字力日記でちょっと触れた内田栄一の小品が『東京百話天の巻』(ちくま文庫)に採られていることを発見した。「箱庭」という珠玉の作品だ。