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林蘊蓄斎の文画な日々
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片すより読みふけりをり汗埃

『文字力100』初校が終わったので、資料を片付ける。多少分類も変えてみる。段ボール箱も新しくして、テーマごとに分別。ラベルを貼る。一日中そんなことであっという間にすぎる。

途中、宅急便で『文字力100』の表紙の色校正が届く。データ入稿(CD-R)なのでめちゃ早い。しかし、聞くところによると、印刷所が新しい機械を導入したらしく、どうも色の出がデータとシンクロしていない。かなり赤が強く出ているのだ。訂正のメールを送る。

午後の休息時に録画の「クリムゾン・リバ−2」の残りを観てしまう。ジャン・レノが初の続編出演だそうだが、それはともかく、アート系ではあるものの、ちょっとばかりこけおどしっぽい画面になっている。ただ、小物が凝っていた。修道院の古い革装の本も本当の古書を集めた雰囲気はとても好かった。

映画鑑賞の後は、また、黙々と片付ける。大学時代、東京で暮らすようになって「片す」という言葉を初めて聞いた。へんな言葉だと思った。『言海』にはこうある。

《かた・す ス・セ・サ・シ・セ (他動)(規・一)移ス。處ヲ替フ。》

『新明解国語辞典』第四版(三省堂、一九九二年)にはこうある。②はアクセントの種類。

《かた・す②:②【片す】(他五)〔東北・関東方言〕かたづける。しまう。》

かなり意味が違うが、まあ、それはどうでもいい。そうやって片していると、『暮しの手帖』53号(一九六〇年二月)が出て来た。パラパラ開いていたら、「自転車の上の本屋」という記事が目についた。池袋の久保書店をクローズアップしている。

やもめ暮しの久保氏は「仕切り場」で雑誌などを買い集めて、古書業者の市(第8支部とある)へ出す。「仕切り場」をしんかいさんで引いてみると、「仕切り屋」として《廃品回収業者が集めて来た廃品を、それぞれに仕分けして売り払う・職業(人)》という説明がある。立て場(建て場)《くず屋がその日集めた品物を買い取ってやる問屋》に似ているが、紙以外のものも扱うのが仕切り屋ということか。

久保氏の息子さん武君が十七歳で神田の波木井書店の店員として住み込んでいる。「日本の古本屋」で調べてみると、練馬区石神井町に久保書店が現存し、店主は久保武となっているので、この記事に写っている青年にちがいない。

長屋に住んで、その敷金が3万円、家賃1200円。先日も紙くずのなかから学会雑誌の揃いを見つけて《おもい切って2百50円で買って、市へ出したら、たちまち3千5百円で売れた》そうである。多少、お泪頂戴の気味がなくはないが、当時の古本屋のひとつの姿を記録したいいレポートだ。
by sumus_co | 2006-05-23 17:33 | 古書日録
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