これまで書き散らしたエッセイの整理をした。古本に関するものと書評を集めてみると、けっこうあった。パソコンに向かってファイルをあれこれ開いては分類していると、頭上で軽い、パラパラパラ……という連続音が聞こえてきた。
聞き覚えのある足音、ネズミ殿である。郷里の古家ではその徘徊に悩まされた。蔵書をかじられることもしばしばであった。とくに図録の背の部分などがずらりとやられていたときにはちょっとショックだった。ネズ公たちはアート紙が好きらしい。
パソコン部屋は六畳、その長辺を往復し、姿を消した、あ、いや、音を消したように思えた。きっと近所から出張してきたのではなかろうか。アトリエにはモチーフとして描きかけの食パンが並べてある。もちろんカチカチになっているが、ひょっとして、と思ってチェックしてみた。今のところ異常はないようだった。
「緑岡詞林」三十号(青山学院大学日文院生の会)の抜刷が若松伸哉氏より届く。「雑誌『作品』(1930〜40)素描(下)」という論文である。『作品』の同人というか初期の主な執筆者、小林秀雄らが抜けて『文学界』を出し始める、そのため『作品』の編集内容が新人発掘に変わった、そういった考察である。たいへん参考になる。
昨日もらった古書店レッテルの一枚。これは珍品と思う。大阪の東成区深江、中六ノ二四、東文堂書店。
《御読ニナリマシタラ是非当店ヘスグ売戻シテ下サイ》
《此表ハ破ラヌ様ニ願ヒマス》