
「ママの遺したラヴソング A Love Song for Bobby Long」(シェイニー・ゲイベル監督、二〇〇四年)。スカーレット・ヨハンソン(ジョハンソン)主演。母親を知らずに祖母に育てられた娘。母の死を知らされ母が住んでいたニューオリンズへやってくると、母の家にはむさくるしい男二人が住んでいた。
画家のフェルメールを描いた作品「真珠の耳飾りの少女」(二〇〇三)でスカーレットの顔を覚えた。ヨハンソンという名前の通り父方がデンマーク系。母方がユダヤ系とのこと。そしてその後で見た「モンタナの風に抱かれて」(一九九八)にチャーミングな子役として出ていたのに吃驚し、「私がクマにキレた理由」(二〇〇七)でベビーシッターを演じていたのも彼女だったのだと改めて知ったしだい。
上の写真は母親の遺したトランク。本はこれだけ。娘は売り払うといいながら、駅の待合室でそのなかの一冊を読んでしまう。

そのタイトルはカーソン・マッカラーズの『心は孤独な狩人 The Heart is a Lonely Hunter』(一九四〇年、河野一郎訳の新潮文庫は一九七二年刊)。一九四〇年の大ヒット小説。グレアム・グリーンはフォークナーよりマッカラーズが好きだと公言しているそうだ。彼女は第二次大戦後ずっとパリに住んでいた。
母に誰かから捧げられたこのペーパーバックを読んで娘パースレーン(ヨハンソン)は男たちの家に戻って同居することを決意。奇妙な生活が始まる。

初老の男ボビー(ジョン・トラボルタ)は元ハーバードの英文学教授、いわくあって南部へ落ちて来た。いっしょについて来た教え子のローソン (ガブリエル・マクト)に小説を書かせようとしているが、どうもはかばかしくない。ところがローソンはパースレーンがやって来てから少しずつ変り始める。
トラボルタは器用にこなしているもののどうも適役とは思えない。ヨハンソンも悪くはないが、なんとなく役柄とは似合わないような気がする。ブルーズ演奏もやや取って付けたような感じ。結末もほぼ最初から見えている。ヨハンソンを鑑賞する映画というところ。
登場する本の姿はなかなかいい。