
『La Henriade, par Monsieur de Voltaire, Avec un Essai sur la Poésie Epique, & autres pieces. Nouvelle Édition, Enrichie en Figures. Tome Second.』(Jean Racine, Rouen, 1789)を入手した。
ヴォルテールの『ラ・アンリアッド』は一七二八年にロンドンで刊行された。フランス王アンリ三世とナヴァル王アンリ三世(後のアンリ四世)によるパリ包囲戦(一五八九)を語った叙事詩である。小生には新教旧教の力関係、ローマやスペインも絡んで錯綜したパワーポリテッィクスを簡単に説明することはとうてい出来ないが、とにかくも宗教的寛容を雄弁にうったえる「アンリアッド」は、ヨーロッパ全土にわたって前例をみないほどの成功をおさめたそうだ。そのためだろうが、多種多様な版が刊行されたようである。今でも十八世紀あるいは十九世紀初期の版本を容易に見ることができる。
これはルーアン、ガントリ通り(rue Ganterie)の書肆ジャン・ラシーヌがおそらく二巻本で刊行したもののうちの第二巻。「アンリアッド」は第一巻に収められているようで、ここにはパロディ版「仮装アンリアッド La Henriade Travestie」や「叙事詩論 Essai sur la Poésie épique」などのエッセイが何編か収められている。

折り込み地図付。「メーヌ公爵夫人宛書簡詩 Epitre à S.A.S. Madame la Duchesse du Maine, sur la Bataille de Lawfeldt, gagnée par Louis XV, le 2 Juillet 1747」の主題となっているローフェルト(現在のベルギー、マーストリヒト)の戦いの戦場地図のようである。これは一七四七年に行われたフランスの領土拡張戦争でオランダやスコットランド等の連合軍と戦ってマーストリヒトを落とした。

もちろん読もうと思って買った、わけではなく、絵に描ければいいな、くらいのところである。見返しのマーブル紙があまり手が込み過ぎておらず素朴なのが気に入った。
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「
田中りえさん(作家)が死去」されたという報せが知人より。これまで何度かこのブログでもお名前を出させていただいた。ご冥福をお祈りします。
野見山暁治 絵とことば
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