
昨日ふと『愛よ波を越えよ』(海上の友編集部編、日本海事公報協会、一九八二年四月一〇日二十版)の表紙が目に留まった。装幀者を確認すると「有井泰」だ。久し振りにこの名前を見つけて、おお、と思った。岡本芳雄といい、有井泰といい、長らく御無沙汰していたのに突然立ち現れてくる。これが古本のエキサイティングなところ。
串田孫一『表現の悦び』(ミリオン・ブックス、一九五六年)
http://sumus.exblog.jp/6220435/
この記事を書いたのは二〇〇六年だから七年振りの有井泰である。本書は二十版なので一九八二年発行になっているが、初版は昭和三十一年(一九五六)だから有井泰であってもおかしくはない。もちろん有井泰すなわち串田孫一なら一九八二年でも問題はない(二〇〇五年、九十歳で歿)。
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久し振りと言えば、右文書院の青柳さんより新刊を頂戴した。右文書院は文学を忘れたのかと思っていたが、そうではなかった。しかもそのタイトルは、渡辺喜一郎『石川淳傅説』。これは嬉しい。石川淳といえば和漢洋へだてなき読書家だった。小説にはあまり感心しないが『諸国畸人傳』は一種独特な作風で愛読したものだ。書評家としても優れている。どんな生涯だったか、読むのが楽しみ。読了したら紹介します。