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うづらと夜のノートルダム![]() 洲之内徹『絵のなかの散歩』に「鳥海青児「うづら」」という一編がある。例の《買えなければ盗んででも自分のものにしたくなるような絵なら、まちがいなくいい絵である》という名言(?)から始まっている絶妙なエッセイだ。 写真家の土門拳が、まだ洲之内徹が田村泰次郎経営の「現代画廊」で番頭をしていたとき、「うづら」を売りたいと言って持ち込んで来た。洲之内は一目で惚れ込んだ。かつて田村は土門にこの絵を手離すときにはぜひ買わせて欲しいと申し出ていた。しかし、このとき「うづら」を見た田村は「死んだ鳥では売れないだろうな」とつぶやいた。洲之内はそれを耳にして自分が買えば絶対売らないと土門を説得する。ところが土門の妻が絵を売るなと言い出したということで絵は宙ぶらりんなまま現代画廊で預かることになった。しばらくして土門が画廊にやって来て、やはり売ると言う。応対した洲之内は田村には内緒で自分で買うことを決心し、土門を口説き落とした。この絵を買ったことは誰にも言わないつもりだったが、ある日、作者である鳥海青児の家へ遊びに行ってつい話してしまう。 《すると、傍で聞いていた美川きよさん[鳥海の妻]が、 「土門は怪しからんわねえ」 と、少し気色ばんで言いだした。 美川さんの言い分はこうである。土門さんの言うとおり、あの絵はずっと鎌倉の家の玄関に掛っていて、見るたびに土門さんが欲しがったが、鳥海さんはどうしても売るとは言わなかった。すると、とうとうしまいに、それでは貸してくれと言って持って行ったが、帰った後で見ると、座布団の下に五千円敷いてあった。 「いくらあたしたちが貧乏していても、あの絵を五千円では売りませんよ」 と、美川さんは言い、 「だから、売るんだったら、うちへ返してこなければならないのよ」 と言うのであった。 鳥海さんのほうは笑って、 「そうは言っても、うちへ持ってきたんじゃ五千円だからなあ……、いくらだった?」 と、私の顔を見た。 「十万円でした」 「どうだい、あの絵を俺に売らないか?」 作者の鳥海さんにそう言われて、いやとは言いにくかったが、私は断った。 「そんな殺生な、ぼくはあの絵を買おうとして馘になりかかったんですよ、売るくらいならそんな無理はしませんよ」》 というような訳で「うづら」は以後ずっと洲之内の手許にとどめられた。結果、現在は宮城県美術館が所蔵している。 ![]() 美川きよ『夜のノートルダム』(中央公論社、一九七八年四月三〇日)をざっと読み返してみると、土門拳が二度ほど登場している(よく目を通せばもっと出ているかもしれませんが)。一度は、鳥海が美川の和服姿を二十号で二枚描いた翌日にやって来る。 《運悪く翌日、土門拳がひょっこり訪ねて来た。 「鳥海先生でも、やっぱり奥さんは奇麗に描くんだなあ」 「やーめた」 鳥海はその二枚を乱暴に塗りつぶしてしまった。》 もう一度は、生活を作家である美川が支えていたので「髪結いの亭主」でいいのかと美川の方が心配になり、土門拳に売り展ではない個展を企画してくれるところを探して欲しいと頼むところ。土門は東京画郎で回顧展形式、求龍堂画廊で新作展を斡旋したという。 ![]() 麻布飯倉片町での鳥海と美川夫妻(『日本の名画・鳥海青児』講談社、一九七四年、下も同じ)。かつて島崎藤村が住んでいた隣の土地だった。鎌倉雪の下からここに移ったのは昭和二十七年。鳥海は「セザンヌが描きそうな所だな」と気に入ったという。当時はまだ各所に焼け野原の草茫茫の土地があった ところが、いざ引越となって、運送トラック代の工面ができない。仕方なく八畳間一杯に積み上げてあった本を売った。 《古書、絵の本は手放したがらぬので、私の小説本を売り払った。トルストイ、バルザック、チェーホフ、ジイド、森鴎外、徳田秋声、恩師水上滝太郎の全集をも加えた。買える時が来たら、また買える。しばしの別れと、いさぎよく愛着を断ち切った。一万三千円に売れてトラック代は出た。》 全集にいちばん値段が付いた時代である。そのおかげか、この飯倉という新しい土地で鳥海は「畠」や「春の段々畠」などの力作を次々と生み出していった。
by sumus_co
| 2013-09-09 20:51
| 雲遅空想美術館
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