
『ソムニウム』4号(エディシオン・アルシーブ+彗星倶楽部、一九八一年九月一〇日、表紙+本文デザイン=羽良多平吉)を入手した。七月に
ベアリュの『水蜘蛛』を紹介して以来、探すともなく探していた。
参考までにこの号の執筆者を列挙しておく。荒俣宏、羽良多平吉、川島昭夫、多田智満子、内田道夫、鈴木潔、前川道介、法水金太郎、後藤繁雄、赤井敏夫、田中義廣、井上義一、大島哲蔵、吉田城、梅木英治、田中岑弥(発行人)、生田千恵子(編集人)以上。なかなか渋い。
縦長の判型といい、幻想文学研究を謳いながらもいかにも la gaya scienza な内容といい『エピステーメー』(朝日出版社、一九七五年創刊)の関西ミニ版という印象である。頁をめくるたびにこれでもかと繰り出される見知らぬ単語の洪水に目がチカチカしてしまう。なんとか読めたのは井上義一訳のアウグスト・モンテローソ「ミスター・テイラー」だけであった。『全集 その他の物語』(一九五九年)に収録されている一編で、干し首をテーマにしたブラックな小品。

後書きには《さる五月三日、エディシオン・アルシーブにてメリエスのフィルム上映を行いました。幻想領域のひとつの地点、映画というスクリーンに投影されるメリエスの夢をあらためて感知しようとするものです》とあり、また五月二十日から六月二十一日にかけて四条麩屋町西入るの「ブックストア談」で「ソムニウム・ブックフェア '81」が行われたことも分かる。
《図書館ならずとも、幻想の書を一堂のもとに参集させ、ブックコスモスの饗宴を街の書店に繰りひろげてみる。その一郭では幻想がハレーションを起こしている。ソムニウムが贈るブックフェア '81 ビブリオテカ・ソムニである。》
京都書院ではなくブックストア談というところに「ほほう」と思う。

表紙をめくると「オン・サンディーズ」(現在のオンサンデーズ - ワタリウム美術館)の紹介記事があり、巻末七頁の写真と裏表紙両面(表3〜4)はすべてブティーク、ジュンコ・コシノの広告。

また、ベアリュ『水蜘蛛』の広告頁には澁澤龍彦が推薦の筆を執っている。
《ベアリュ讃 澁澤龍彦
一九〇八年生まれだから、今年七十三歳になるはずのマルセル・ベアリュは、おそらく現在のフランス文壇で、もっともおもしろく、もっとも独創的な作家ではないかと私は思っている。
ホフマンのような幻想あり、カフカのような不条理あり、しかもイノサンス(無垢)と黒いユーモアが混在していて、その作品は人工ダイヤモンドのように奇妙に乱反射する。》
「ソムニウム somnium」は「夢、幻想」という意味のラテン語である。