
昨日の荷物からもう一冊。『DADA』(Editions du Centre Pompidou, 2005)展の図録。この展覧会はパリ、ワシントン、ニューヨークと巡回したようだ。見たかったなあ〜と思うが、仕方がない。とにかく凄い図録が手に入って満足。千頁以上ある。ABC順に項目が並んでおり、ダダ百科事典のおもむきだ。年譜も備わっているし、これは使える。

レイアウトにも工夫が凝らされ、だいたいこの手のカタログは凝り過ぎになる気味があるのだが、これは、まずまず見やすい方だ。表紙を開くとマン・レイの写真がお出迎え。栞代りのローズ・セラヴィの荷札「VOUS POUR MOI?」(荷札だから「おたく、ぼく宛?」とか?)。

Jの項目には「JAPON」(日本)も立項されている。十九歳の高橋新吉が一九二〇年にトリスタン・ツァラの思想に触れて日本で初めてのダダイストを名乗った…云々というテキスト(Carole Benaiteau)があり、辻潤、村山知義らが紹介され、図版としては雑誌『MAVO』、高橋新吉『ダダイスト新吉の詩』(中央美術社、一九二三年)、高橋新吉『ダダ』(内外書店、一九二四年)、萩原恭次郎『死刑宣告』(長隆舎書店、一九二五年)が掲載されている。

マン・レイは二十八頁にわたって多面的な活動が紹介されている。デュシャンには三十頁、ジュヴィッタースには二十二頁ほどを費やしているのが目につく。まったく聞いたこともない作家も多い。また、クロノロジーもチューリッヒ(1914-1922)、ベルリン(1912-1925)、ハノーヴァ(1914-1924)、ケルン(1914-1922)、ニューヨーク(1913-1926)、パリ(1913-1925)と都市ごとに分けて細かく出来事を並べてくれている。

これは「PRESSE」(新聞)の項より『Le Petit Monde』一九二一年一一月一五日号の漫画。
サロン・ドートンヌより戻って
女子「やいこら、キュビスト!」
男子「ほっといてくれ、ダダイスト!」
サロン・ドートンヌは秋の展覧会。積み木(キューブ)で遊ぶ男子をキュビストと呼ぶダダイスト女子は木馬(ダダ)にまたがっている……とこれはなかなかケッサクである。