
Boileau-Narcejac『Arsène Lupin Le secret d'Eunerville』(LE LIVRE DE POCHE POLICIER, 1973)すなわちボワロー=ナルスジャックによるアルセーヌ・リュパン(ルバンとも)のパロディ・シリーズの一冊を頂戴した。
推理モノには疎いので初めて知ったが、ボワロー=ナルスジャックはピエール・ボワローとトマ・ナルスジャックという二人のフランスの推理作家が使った共同の筆名だそうだ(というか、それぞれの名前をつないだだけだね! いちばん最初は Alain Bouccarèje と名乗っていたようです)。一九四八年にボワローがナルスジャックの冒険小説大賞受賞式に参加したとき、二人は出会い、意気投合。一九五〇年から二人で共同執筆という新しい作家活動を始めた。彼らの作品のほとんどは映画化されている(あるいは映画のために書かれている。日本のドラマにもなっているので詳しくは日本語のウィキ「ボワロー=ナルスジャック」を参照されたし)。
新リュパン(第二の顔 Le seconde visage d'Arssène Lupin)シリーズは七〇年代に彼らがル・ブランの著作権者の許可を得てパロディとして書き始めた。日本でも新潮文庫などから邦訳が出ている。
送って下さった方はボワロー=ナルスジャックよりも、この表紙の作者、ピエール・フォシュー(Pierre Faucheux)の装幀がお好きだとのこと。フォシュー(1924-1999)はフランスのタイポグラファー、デザイナー。戦後のシュルレアリスト・グループにも関係したようだ。いくつかの出版社で働いた後、一九六三年に自身のアトリエ(l’Atelier Pierre Faucheux)を設立、リーヴル・ド・ポッシュの表紙デザインを多く手がけるなどフランスの出版界で重要な足跡を残した(代表作としては
ジャック・プレヴェールの『パロール』など)。
《表現が"悪趣味"に陥らないところにふみとどまっている"様(さま)"を見ていて楽しく思うものです。昔、〜5、6年前〜まではそれこそブラッサンスできれいなのがいくつもあったものですが、それがもう田舎の蔵出し市でやっとこのようなのが"めずらしく"見つかる、という感じです。》
七〇年代は遠くなりにけり……ですか。