
皐門訳註『四声解環』巻之上下を頂戴した(上下で一冊になっている)。深謝です。頂戴したものは序文と奥付を欠いているが、上の画像は欠落している封面と序の最初の頁で、欠落を補う意味で画像をも頂戴したのである。本書は早稲田大学図書館に完全なものが所蔵されているようだ。
四声解環. 巻之上,下 / 皐門 訳註
http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/bunko30/bunko30_e0431/index.html
早稲田所蔵本によれば、源文伯による序の日付は安永庚子(一七八〇)春二月、中川有叙による序の日付は享和辛酉(一八〇一)冬十月、奥付は文化元年(一八〇四)甲子夏四月。版元は浪華書肆(山内五郎兵衛/柳原木兵衛/三木佐助)、帝都書肆(植村藤右衛門/加藤新兵衛/林権兵衛)。安永オリジナル版に増補した内容のようである。
四声解環とは何か? 四声は漢字の中国発音、去・入・上・平と四種ある。解環は…手許の辞書には載っていなかったが、四声の区別を丸で示している、すなわち四声がよく分るという意味だと理解する。

内題につづいて校閲者の名が並んでいる。驥士良は皐門先生の子息。第二の序を草している丹州・中川有叙(別号周策、文政八年一八二五、歿)は丹波の郷士の中川家に連なる人物か? 阿州・美馬璞は? 蔵印は「伊澤氏図書信」。

要するに見出し漢字に丸印が四声に応じて付記されているということ。

漢字の配列は、和訓のみの五十音順(!)だ。となると、さて、これはいったいどういう時に使う辞書なのだろうか? ア部の最初の漢字「アザヤカナリ」には四種類の文字が挙がっており、平声は「鮮」だけだから、漢詩を作るときに、平仄(ひょうそく)の参考にしたのだろう……(封面に「詩文重宝」と明記されていました!)。ただし、どう考えても、音でも引けないと使い勝手は良いとは言えないように思う。タテが十センチ余りの豆本である。おそらく昔の人はこれを常に携帯しておおよそ覚えてしまったのかもしれない。