こちらも下鴨での収穫。絵葉書を集めているわけではない、が、安い絵葉書箱があるとつい何かないかと探してしまう。安い絵葉書は風景写真(日本各地の観光名所の類い)がほとんど。とは言え、一昔前と較べれば、絵葉書はベラボーに高くなっている。
名所絵葉書でも、テーマ(例えば特定の土地だとか、特定の建物やモニュメントなど)を絞れば楽しめるだろう。今のところ、そういうテーマも持ち合わせないし、たまさか、讃岐関係があれば買うかもしれないという程度だ。ただ美人絵葉書は買っておくことにしている。美人はいつの世にも人気があるようで、絵葉書と言えどもそれなりのお値段。にもかかわらず、これは二百円だった。高いと思えば高い。例えば美術館の新刊ポストカードは100〜150円ほど。しかし、お買い得と思えば、たいへんお買い得だろう。何しろ百年以上も昔に作られたものだから。
この絵葉書、情報が何も記載されていないので、詳しい人(生田誠氏ですが)に尋ねないと分からないながら、石版刷(リトグラフィー)のようである。拡大しても凸版のような網目は見えない。石版なら手書きである。じつに繊細なタッチ。小生、もし「お前、やれ」と言われても、労力を考えると割に合わないので、引き受けない。
色刷は手彩色かと最初は思ったが、よく見ると簡単な版式による印刷のようだ。葉書の用紙にも細かい格子のエンボス(凹凸の型押)が入っている。美人十二ヶ月どこそこの菖蒲園(江戸なら堀切)……というようなシリーズものの一枚かもしれない。