
『タイポグラフィ2つの潮流』(武蔵野美術大学美術館・図書館 武蔵野美術大学造形センター、二〇一三年五月二〇日、デザイン=朴志勲)。
ご覧のようにかなり凝った造本である。二冊を一枚のカバーで包んでいる。

しかも背は綴じが見えている。本来ならここに表紙を貼付けるわけである。それがいわゆる並装(なみそう)本ということになる、いや、厚い表紙を付ければハードカバー(上製本)。並装の場合はこの写真のように糸綴じせずに糊で固めるだけの場合が多い。

「2つの潮流」とはどういうことか? ものすごく簡単に言えば、この二分冊の表紙に印刷された「R」の文字の字体が示している通りである。一つはウィリアム・モリスによる中世復古デザインの流れ。もうひとつはユーゲント・シュティールからロシア構成主義を基盤とする新しい文字デザイン「ニュー・タイポグラフィ」。形からだけ言えば、後者は「サンセリフ」(日本では何故かゴシック体と称している、「セリフ=髭状の飾り」がない字体)が主体である。
《わたしたちがもちいる基本の書体は、サンセリフであるべきで、ライトウェイトからボールドまでのふとさと、さらにコンデンスからエキスパンドまでの字幅を包含します。》(ヤン・ヒチョルト『基本タイポグラフィ』、本書より)
ただしサンセリフが本文の文字として読み難いことは証明済みであろう。この展覧会はそういうことは抜きにしても、これらの書物の実物を目することができるというだけで、たいへん貴重な機会であろう(ほとんどは武蔵美のコレクションだそうです)。
タイポグラフィ 2つの潮流
Two Streams of Typography
2013年5月20日(月)ー8月18日(日)
武蔵野美術大学美術館 展示室3
http://mauml.musabi.ac.jp/museum/archives/6502