
『中嶋康博詩集』(潮流社、二〇一三年五月三一日)が届けられた。時折、詩集をもらったり、買ったりはするのだが、このような白い函入りの詩集は久し振りに手にしたように思う。本文用紙や綴じの具合、版面もちょうど程よく心地よい仕上がりになっていて、さすが詩集を知り尽くした著者の采配ぶりだと感心することしきりである。刊行の経緯や入手については下記サイトを参照されたい。
詩集のこと
http://6426.teacup.com/cogito/bbs/824
『中嶋康博詩集』
http://6426.teacup.com/cogito/bbs/838

内容は読んでいただくのがいちばんだが、試みに時節柄の一作を選んでみる。
海の家
潮くさい溝をあるくもの
路地裏の石垣にかくれるもの
野菜くづをいぢる少年の麦藁帽子に
風鈴のやうなさびしさがすがる
下駄をつっかけた姉さんがみつけて怒鳴る
「あとがき」によれば、かつて著者は田端に住み、下町風俗資料館に勤めておられたそうだ。《毎晩通った神保町の古本屋》というのはさもありなん。その後、帰郷して現在は岐阜女子大に勤めておられる。
《詩の実作よりも、世間に知られてゐない昔の詩人達を、当時の詩集=原質によって祖述することに意味や意義を見出すやうになっていった。活動場所を、普及しはじめたインターネットに移し、今では、この地元で盛んだった江戸時代の漢詩にまで遡ってゐる。》
戦前抒情詩と江戸漢詩の共通性を認識しながら研究というか探求を勧められておられる様子である。小生の近頃の漢詩熱も中嶋氏の影響なしとは言えない。今後とも
昭和初期抒情詩と江戸時代漢詩のための掲示板には注目していきたい。