
『VICTOR HUGO OEUVRES COMPLETES 』(Eugène Hugues)のうちの一巻で「ある犯罪の物語」と「小ナポレオン伝」が収められている。一八七九年の刊行。多数の挿絵が入っており「レミゼラブル」の大きな箒を持つコゼット(と言うか、コゼットが小さいので箒が大きく描かれているわけだが)のイラストで知られるエミール・バヤール(Émile Bayard, 1837-91)の作品もかなり含まれている。
バヤールはギュスタヴ・ドレの同時代人。ロマン派・新古典派の肖像画家レオン・コニエ(Léon Cogniet,1794-1880)に師事し、十五歳の頃から主に木炭画を発表しはじめ、新聞や定期刊行物の挿絵に才能を発揮。出版人のルイ・アシェットに気に入られ、小説の挿絵を描くようになった。ユゴーの『レミゼラブル』は言うまでもなく、ストウ夫人の『アンクル・トムの小屋』、アルフォンス・ドーデ、そしてジュール・ベルヌの『月世界旅行』(地球から月へ)などの作品を飾っている。

版元のウジェーヌ・ユーグ(Eugène Hugues)については目下のところよく分からない。ユゴー全集のバラが多くヒットするので、これが代表的な出版物ということになるのだろうか。背革でマーブル紙の装幀は初刊のときからこうだったようだ(たぶん)。
バヤールの挿絵は明日以降に紹介してゆく。