
梅田から阪急宝塚線で石橋下車。ここの駅西側の商店街は、それこそ昭和三十年代の匂いが色濃く残る貴重な遺構である。

異界へのトンネルのような商店街を通り抜けて大阪大学へ向かう。

高速道路の高架下に太田書店。久し振り。梅田のかっぱ横丁にも出店している。文庫本までもビニール袋に封入して完璧に状態を保っていることに驚く。堅い本が多い大学町の古書店というイメージそのまま。表は210円均一。これは拾える。

太田書店から歩いて数分。緑の多いキャンパス、校門を入ると正面左手に総合学術博物館の建物が見える。初めての訪問。
「オオサカがとんがっていた時代 戦後大阪の前衛美術 焼け跡から万博前夜まで」は三階企画展フロアにて開催中(入場無料)。
いきなり小石清の『初夏神経』(国書刊行会の復刻版)、『柳屋』の未来派特集号が並んでいてビックリ。前田藤四郎の「時計」や銅板画のプレートを貼付けた本などもある。池田遊子の油彩画や彫刻作品。デモクラート関連で、瑛九のフォトデッサン作品集、早川良雄のポスター、泉茂、三上誠、下村良之助、河野芳夫。
目玉のグタイピナコテカ(大阪中之島に吉原治良が伝来の土蔵を改修して作った展示施設)関連では、白髪一雄、嶋本昭三、元永定正、村上三郎、田中敦子、マチウ、サム・フランシス、ミッシェル・タピエ、ポール・ジェンキンス、アッセット、カポグロッシ、フォンタナらの作品展示。グタイピナコテカでの展覧会パンフレットや案内状、写真資料がズラリ。新歌舞伎座関連で村野藤吾、辻晉堂、建畠覚造。オリンピック関連で横尾忠則など。
たしかにトンガッテいる。近畿圏が戦後の非具象美術を(国際的にも)牽引していた時期があったことが如実に分かる仕掛けになっている。図録があれば買いたかったけど…なかった。プリント資料のみ。
『古書店地図帖全国版』(図書新聞社、一九七三年五月一〇日二刷)によれば石橋の周辺には太田書店だけ。平和堂書店が池田の近くにある。また『大阪古書店案内114』(980企画社、一九八〇年六月一日)には太田書店と《マチカネ書店 阪大正門の正面にある》が掲載されている。古書キリコは石橋と池田の中間くらいに現在も営業しているようだ。訪ねてみればよかった(「天神さんの古本まつり」に出店)。他に古書組合などに登録していない古本屋もあったかもしれない。