最近、佐野関連の資料が次々と集まったのでまとめて紹介しておく。まずは『銀座百点』No.700(銀座百店会、二〇一三年三月一日)に宇野亜喜良が「聞き書き佐野繁次郎」を執筆している。

《東京オリンピックのポスターで知られる亀倉さんは、佐野さんのことを知っていて、あの独特のイラストレーションの描き方を話してくれたことがあった。ハードボイルドなルノワール、はたまたグラマラスにデフォルメされたエゴン・シーレといった感じの、階調のない黒い線で描かれた画風は、濃度の高い4Bとか6Bで力一杯に描かれ、凸版で黒白に製版するという話であった。佐野さんという画家は、印刷というメカニックをよく知っている。グラフィックデザイナーの方法論である。》
この亀倉雄策の回想する黒い線というのは『佐野繁次郎装幀集成』の巻頭に出ている挿絵原画などがいい例だろう。ただ、全部が全部そのような調子で描いたというわけではなく、もっと柔らかいタッチの線画もある。
それから、かとう美術の『コレクションカタログ』(二〇〇三年一二月)に「佐野繁次郎 ドローイング、コラージュ 68.5×51cm サイン ¥360,000(額共)」が出品されていたのを発見。一九六〇年代に得意とした動物(犬、馬?)の抽象形態。
もうひとつ、『第9回現代日本美術展』(一九六九年)に「母と子」(一九六〇)を出品している。残念ながら図版は掲載されていないが、この作品は『佐野繁次郎展』図録(東京ステーションギャララリー、二〇〇五年)に出ているので確認できる。