
谷町線の天王寺下車。天王寺公園(上の写真)を抜けて大阪市立美術館へ。何度目か知らないけれど、とにかく史上最大の里帰り、ボストン美術館展を見る。大改修をしたらしいので、その費用捻出のための出開帳なのかもしれない。目玉はそれこそ目玉ギョロリの世界初公開となる曾我蕭白の「雲龍図」。

蕭白の目玉はともかく、日本美術としては最高レベルの作品が勢揃いしている感じで、ひさびさに感銘を受けた。すでに見ていたものも数々あるけれど、何度見てもいいものはいい。
春の嵐の予報が出ていた大阪地方、観客の数が少なかった。それもまた有り難かった。吉備大臣入唐絵巻などかなりじっくり楽しめた。絵巻の解説はカラーコピーの部分図がガラスケースの上にパネル展示されている。はっきり言ってこれはうるさい。実物を目の前にしてパネルばかり見ているというのはいったいどういうことだ。文字だけの説明をもっと工夫すべき。
宗達のポピーの絵など、戦後の作品ではないかと疑うくらい新鮮だった。蕭白の大作ばかりズラリと並べたの展示も迫力あり。何故アメリカ人に好かれ、日本人が無視してきたのか、よ〜く分るような気がする。デビューしたころの吉田戦車ですな、蕭白は。

地下鉄で谷町九丁目まで戻って高津宮へ。予想したほどの雨ではないが、花見客はほとんどいない。臨時売店も幕を閉じたまま。花びらが絨毯のように散り敷いて、静かに雨に打たれる風情も悪くない。恒例の「無花果観桜会」に参加。

橋爪節也さんが掘り出した福原五岳の屏風について熱弁をふるっておられる。今年もいろいろ珍しい軸ものや資料が出ていて勉強になった。小生も初めて南画の軸を持参、イチジク会の趣旨にやっと沿うことができた。
しかし結局ほんとに驚いた(そして欲しくなった)のは森川喜助宛の川西英の自筆葉書十六枚(大正から昭和初、木版画、自筆のスケッチなどあり)、これは美しくもあり、資料的価値も高い品物だった。もうひとつは『暁斎画談』のひと揃い。目録ではよく見かけるが、実物は手にしたことがなかった。状態もかなり良かった。

『暁斎画談』から、例えば、この鷺の図、一見、胴体は白いだけかと思えるのだが、じつは羽根の線が空押しで摺られているのだ。今で言うエンボス。この写真でわかるかなあ…わっかんねだろうなあ(古!)。

美術鑑賞三昧の一日でした。