
『江戸川乱歩リファレンスブック3 江戸川乱歩著書目録』(名張市立図書館、二〇〇三年三月三一日)を久し振りに取り出す。ビブリア古書堂の最終回を見て思い出した。装幀は戸田勝久さん。筒函で用紙にも凝った書物通ならではの美しい仕上がり。江戸川乱歩リファレンスブックは全三巻、1は『乱歩文献データブック』(一九九七年)、2は『江戸川乱歩執筆年譜』(一九九八年)。
見返しの原稿は「蜘蛛男」連載第一回。扉の作品は戸田勝久「月の菴」(二〇〇一年)。なんとも贅沢な著書目録。名張市は乱歩の生まれ故郷である。本書は二〇〇一年までのデータを収録している。それによれば乱歩の著作総数は千四百二十四点、うち自著が九〇九点、だというから驚きである。
本書の序文を新保博久氏が執筆しておられるが、この後、同氏と山前譲氏の監修になる光文社文庫の決定版『江戸川乱歩全集』(全三十巻、完結二〇〇六年)が出ることになるから、乱歩の人気には計り知れないものがある。二〇〇六年三月二日の朝日新聞に出た完結を報じる記事がこの本に挟んであった。《最も売れているのは初期短編集の趣の「屋根裏の散歩者」(第1巻)。予想外に売れたのは「黒蜥蜴」(第9巻)という。》
ビブリア古書堂の最終回では「押絵と旅する女」(「押絵と旅する男」の初稿)という破棄されたはずの原稿が保存されているというのが大きな隠し球である。それはいいとして、問題は演出だ。金庫のなかに二つ折りにした原稿用紙の束がそのままポンと置かれているというのは、まず、あり得ないだろう。乱歩コレクター(じつは乱歩の泊まったホテルの従業員だったから破棄原稿を保存できたという筋書き)の秘蔵品なのだから。漆塗りとは言わないまでも、せめて桐箱にくらい入れておいて欲しかった。
ビブリア古書堂の棚も、もう少しなんとかしても良かったのでは? どう見てもプロの古本屋が作った棚ではない。マニア向けなら(いや、マニア向けでなくとも)こだわって欲しかった。ストーリーそのものはヒネリも利いていていいと思うが、視聴率ということからすると、やはり一般向け推理ドラマでは次々に殺人が起こらないと難しいのだろうか。古本の世界、セコイ事件はしょっちゅう起こっているが、殺人は……当たり前ながら、そうはないでしょう。